◆8月21日(水)の第11回「原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」で伊方3号機の審査が行われました。
8月15日の第9回会合に続いて、伊方が議題に上るのは7回目です。
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20130821.html
◆今回は、「基準津波」が議題になっています。
「伊方発電所3号炉 津波の評価について」
「伊方発電所3号炉 津波の評価について 詳細データ集【1】津波計算について」
「伊方発電所3号炉 津波の評価について 詳細データ集【2】津波の要因となる山体崩壊・地すべりの評価について」
「伊方発電所3号炉 津波の評価について コメント回答」
という4本の四電作成の資料が配布されています。
◆4本目の「コメント回答」は、7月23日の第2回審査会合で原子力規制委員会側から出された、「基準津波の波源として想定している敷地前面海域の断層群について、連動を考慮した波源を基本ケースとすること」というコメントに対する回答だということです。
これをざっと眺めて気になることは、
・活断層の長さと地震規模との関係について、引用されている研究が、いずれも2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震以前のものばかりであるということ。
・「長大断層の地すべり量は、3~5mで飽和する」というモデルばかりを並べていること。
例外は、武村(1998)のモデルです。これについて四電は、「全長約450kmに対して武村(1998)を適用すると、地震規模がMw8.6、すべり量は約25mとなる。これをスケーリング則に照らし合わせると、既往の関係式から大きくかい離する。」(14ページ)と述べています。
「既往の関係式から大きくかい離する」と言っていますが、東北地方太平洋沖地震を目の当たりにした今、「地震規模がMw8.6、すべり量は約25m」という計算は、それほど外れたものには思えません。
「既往の関係式から外れるからあり得ない」と結論するのではなく、観察された事実から出発して、「既往の関係式」が正しいかどうかを疑ってみる必要があるのではないでしょうか。
・「長い断層は短く切って評価すべし」と結論づけていると読める、平成22年(2010年)11月25日の地震調査研究推進本部 地震調査委員会 長期評価部会「活断層の長期評価手法」報告書を引用していること。
この中には次のように書かれていています。
「①『活動範囲』の長さが断層幅の4倍を超える場合には、単一の長さが断層幅の4倍を超えない『地震規模想定区間』の組合せを設定し、それぞれから発生する地震の規模を個別に評価したうえで、それらの地震のモーメント量の和をもって当該『活動範囲』の地震の規模とする。
②『地震規模想定区間』で発生する地震の規模は、『地震規模想定区間』の長さ、断層幅及び1回のずれの量に基づき算出する。
③複数の『地震規模想定区間』の組合せが想定される場合には、地震のモーメント量の和が最大となるケースを採用する。」
その解説として、
「①について、長大な「起震断層」では複数の「活動範囲」が同時に活動して自身が発生するとみなし、発生する地震の規模を推定する。」とも。
図3-6には、具体的な算出方法も示されています。
これを見ると、要するに「長い断層は短く切って評価する」ということです。
しかし、これでは「想定」できない事態が、現に2011年3月11日には起こったのではないでしょうか。
そして、次項では「地震学・地質学的知見」も動員して、『地震規模想定区間』を、別府湾-日出生の43km、敷地前面海域と伊予の87kmと設定しています。
そして、結論は、3号炉敷地前面の水位上昇については、最大が+2.47m、3号機補機冷却海水取水口の水位下降については、最大が-1.72mというケースを検討すればいい、ということになっています。
ナンセンスと言う他、ないのではないでしょうか。