記事一覧

伊方原発の「新規制基準適合審査」

原子力規制委員会では、伊方原発の「新規制基準適合審査」が急ピッチで進められています。
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/index.html#kaisai

◆7月16日には、第1回目の「原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」が行われ、四国電力も、伊方原発3号機の再稼働申請の概要について説明しています。
 ↓
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20130716.html

◆その後、7月23日の第2回会合、7月30日の第4回会合、7月31日の第5回会合、8月1日の第6回会合で、伊方原発を扱っています。

○第2回会合(7月23日)
 ↓
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20130723.html

「四国電力(株)伊方発電所3号機の申請内容に係る主要な論点」という、原子力規制庁側作成と思われる資料が配布されています。

この資料と当日の議事録を見ると、「基準地震動」の評価が論点となっています。
四電は、伊方原発敷地前面海域の断層群(中央構造線断層帯の一部)のうち54kmだけが動くケースを「基準地震動」として想定していますが、
原子力規制庁・規制委員は、地震調査研究推進本部が想定しているように、伊方原発敷地前面海域の断層群が360km、あるいは430km連動して動くケースを基本ケースとして検討すべきだと指摘しています。

○第4回会合(7月30日)
 ↓
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20130730.html 

「全交流動力電源喪失(RCPシールLOCAあり)」「原子炉補機冷却機能喪失」「原子炉停止機能喪失」というそれぞれのケースについての、「伊方発電所3号炉 重大事故等対策の有効性評価に係る成立性確認」という、四電側の資料が配布されています。

○第5回会合(7月31日)
 ↓
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20130731.html

四電の、「伊方発電所の地震動評価のための地下構造評価について」「伊方発電所深部地震観測に係る工事・調査結果について(詳細データ集)」という資料が配布されています。

○第6回会合(8月1日)
 ↓
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20130801.html

「2次冷却系からの除熱機能喪失」「ECCS注水機能喪失」というそれぞれのケースについての、「伊方発電所3号炉 重大事故等対策の有効性評価に係る成立性確認」という、四電側の資料が配布されています。


●そもそも、起こり得る災害や、重大事故対策の有効性について、規制される対象である電力会社自身が調査・評価を行っていること自体に問題があります。

●7月16日四電提出資料「伊方発電所3号機 新規制基準への適合性に係る申請について」を見ると、
「地震動評価に影響を及ぼさないことを確認」「安全性に影響を及ぼさないことを確認」「機能を維持できることを確認」「有効であることを確認」と、コピペをしたような表現が続きます。
結論があらかじめ用意された「作文」であるという印象を受けます。
なぜそう言えるのかという、納得できる根拠が、今後示されるのかどうか、監視していく必要があります。

●現実に事故が起こった場合を考えると、いくら「対策」を講じていても、現実にその対策を実施する人員が確保できるのか、その人々が適切に行動することができるのか、ということが気がかりです。
前記の資料を見ると、「重大事故の発生及び拡大の防止に必要な措置を実施するために必要な技術的能力」という項目についての伊方3号機における確認結果は、「重大事故に対応するために必要な体制の準備に関して、必要な体制を整備する方針であることを確認」ーーつまり、必要な体制がいまだ整備されていないことを語っています。

●プルトニウム燃料を使うことによるリスク、蒸気発生器細管破断の危険性、使用済み燃料の荷崩れによる再臨界の危険性等についても、どのように評価され、論議されるのか、あるいはされないのか、引き続き厳しく監視していく必要があります。

100キロ空間線量率40μSv/hの目安

ファイル 9-1.jpg

伊方原発がもし苛酷事故を起こしたら、という原子力規制委員会のシミュレーションで100km地点は実効線量4mSv。
空間線量率に換算すると40μSv/hになります。
40μSv/hがどれくらい酷いものか、目安になるのが福島第一原発敷地内の空間線量率です。
当の原子力規制委員会委員すら正門から防護服なしで敷地内に入ることはありません。
ご参考までに。

網野

ページ移動

プロフィール

コンテンツ