記事一覧

第45回伊方原発を止めよう!6月21日報告

ファイル 21-1.jpgファイル 21-2.jpgファイル 21-3.jpgファイル 21-4.jpgファイル 21-5.jpg

http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20140621.pdf

みなさま


6月21日(土)第45回伊方原発再稼働反対ウォーク
(広島元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース)の報告です。
チラシは、こちらでご覧ください。

http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20140621.pdf

今回のチラシのテーマは、福井地方裁判所の大飯原発運転差止め判決です。
チラシには、原告(福井から原発を止める裁判の会)の訴状の序論の要旨もまとめてあります。
すぐれた正当性・論理性・科学性を持つ、原告団・弁護団の主張です。
ポイントは、「憲法13条および25条に保証された『人格権』が侵害されることの予防請求権が、差止請求権の法的根拠である」というところだと思います。
福井地裁の判決は、原告の主張をほぼそのまま認めています。

今回のウォークには、4名が参加しましたが、チラシの配布には皆あまり積極的ではなく、
本通りを往復する間に手渡したチラシは、12部くらいでした。
しかし、プラカードに目をやる人は多いと感じました。

4名がスピーチをしました。
その内容は話題ごとに編集して次に貼り付けます。


<以下スピーチの内容>

みなさんに3つのことをお伝えしたいと思います。

◆広島から最も近い原発は伊方原発

第1番目。広島から最も近い原発、それは、四国電力の伊方原発。
中国電力の島根原発よりも四国電力の伊方原発のほうが広島市から近い。
わずか100km。このことをまず皆さん頭に入れてください。

先日、私たちのグループでこの本通りでアンケートをやりました。
伊方原発が広島から最も近い原発であることを知っている人はどれくらいいたかというと、
アンケートにお答えいただいた110人のうち21人の方が、
広島から最も近い原発が伊方原発であるということをご存知でした。
非常に高い数字だと思います。
ひとつには、1ヶ月に2回こうやって歩いていることがひとつの効果になっているのではないかと思います。
もし、広島県民全体にこのアンケートを実施すれば、
100人のうち1人ご存知かどうかというところではないでしょうか?

◆着々と進んでいる伊方原発の再稼動準備

第2点目は、この四国電力の伊方原発は今稼働を止めていますが、
再稼動に向けて着々と準備が進んでいる。

規制委員会の議論を読んでみますと、地震に対する脆弱性について、
原子力規制委員会は四国電力に大きな疑問を投げかけているけれども、
四国電力側はこれ以上地震対策にお金を使いたくないので
「大丈夫だ、大丈夫だ」と言い張っていて、
これが今、平行線の大きな原因になっているが、再稼動に向けて、今、準備中である。

◆伊方原発で苛酷事故が起これば広島市は「一時移転」地域に

3点目は、原子力規制委員会のシミュレーションによると、
この伊方原発で福島原発並みの苛酷事故が起こったら、
あくまでシミュレーションですけれども、広島市は1週間で約4ミリシーベルトの被曝をする。

4ミリシーベルトは、「一時移転」の対象区域です。

簡単に4ミリシーベルトと言いますが、
例えば、チェルノブイリ事故では、
「1年間の予測被曝線量が5ミリシーベルトを超えれば、居住してはならない」
という避難区域になっています。
「1年間の予測被曝線量5ミリシーベルト以上」の基準は、
ベラルーシでもウクライナでもいまだに適用されています。
そのことを考えれば、1週間で4ミリシーベルトの被曝などということは、
べら棒な数字、チェルノブイリに当てはめれば、完全に、「即避難」の対象ということになります。

今にぎわっているこのアーケード、
ここからも人影はなくなってしまうということです。
そして、その時には、広島市だけではなく、
周辺の呉市や廿日市市や江田島市といった地域ももちろん高濃度の放射能に汚染されています。
その中で広島市民は避難しなければいけません。避難するといっても、どこに避難するのでしょうか?

もし逃げたとしても、帰って来られるか来られないかというのが、
自然災害と原発事故という人災との決定的な違いです。

地震や津波による被害は、帰って来られます。
だけど、原発の放射能による被害は、どんなに建物がきれいに残っていても、
放射能に高濃度に汚染されると二度とそこには帰ることができません。

それは、人は、放射能に弱いからです。
そして、これを無害化する方法は、まったくありません。ただ逃げるだけです。

◆新エネルギー基本計画で国は積極的に再稼動推進

4月に新しく閣議決定されたエネルギー基本計画では、
政府は、原発苛酷事故は起こり得るということを前提とした上で、
規制基準適合性審査に合格した原発は、積極的に再稼動させると言っています。

つまり、国は、前面に立って、積極的に原発の再稼動を進めていくと言っています。

◆原子力緊急事態宣言は継続中―安倍首相は何をやっているのか

今、国は、積極的に原発の再稼動を進めていますけれども、
まだ、2011年3月11日に出された原子力緊急事態宣言は、解除されていません。
いまだに緊急事態の中です。
福島原発からは、1時間あたり、セシウムだけで1000万ベクレルの放出が今も続いています。

変わっていないんですよ。
大量放出期が収まった状態のときと、今まったく変わっていません。

これは内閣総理大臣が全面的に全権を握って収束するということが法律で決まっていますので、
本来ならば、安倍首相はこの収束に全力を挙げなければいけないんですが、
今それを放っておいて、何か別のことをやろうとして全力を挙げていらっしゃいます。

◆南海トラフ地震に備えることもなく

伊方原発には、約1400体の使用済み核燃料の集合体があります。
核燃料棒の本数に直すと、40万本に近い核燃料が、この伊方原発には存在しています。
そして一方で、南海トラフ地震が近づいています。
これから30年の間に南海トラフ地震に見舞われる可能性はほぼ70%だと言われています。
ほんとに現実的な問題です。

そのときに、たとえ伊方原発が止まっていても、この40万本の核燃料を
無事に冷却し続けることができるのかどうかは、とても疑問です。
今一刻も早くやってもらいたいことは、ただプールに漬けられているだけの
使用済み核燃料をひとつひとつキャスクに移して、
もし何かの災害で冷却することができなくなっても、
重大事故を防ぐような対策を取ってもらうことです。

ところが、今、国(を乗っ取ったファシスト)が進めようとしているのはそういうことではなく、
伊方原発の再稼動(と憲法の空洞化)です。
原発は止まっていても危険ですけれども、運転しているときの危険は、
止まっているときとは比べ物にならないにもかからわらず。

◆ピンと来ていない広島の地方自治体

新しいエネルギー基本計画では、また、原発の再稼動を進めていくのは国だが、
原発事故が起こった場合の防災対策を立てたり、
それを実施する責任は、地方自治体にあると言っています。

ところが、現在の広島市当局の態度というのは、
原発問題に関しては、ひたすら「国の議論を注視する」というものです。

また、先週の木曜日(6月12日)に、伊方原発の近隣の6県の担当者が集まって、
伊方原発で事故が起こった場合の防災対策の地域連携を進めるという会議を行いました。
これに広島県の危機管理課の担当者も出席しました。

この広島県の危機管理課の人たちがいったいどういう考えで
この会議に出席したのか疑問に思った仲間が、県に出かけて質問しました。

その結果、驚くべきことに、広島県の危機管理課の担当者は、
伊方原発で福島並みの事故が起こった場合、
広島市が1週間で4ミリシーベルトの被曝を被るということ、
そして広島市が一時移転の対象になるということを認識していらっしゃいませんでした。

◆原発は苛酷事故を起こすことが前提

3・11以降、新しく作られた原発再稼動のための規制基準は、
「原発は事故を起こすもの」ということが前提で作られた基準です。
ですから、原子力規制委員会が作った規制基準に適合している原発だからといって、
決して「事故を起こさない安全な原発」ではありません。

原発は事故を起こすものだということが明らかになった今、
伊方原発の再稼動を容認するということは、
「伊方原発で事故が起こってもかまわない。
事故が起これば、広島で築き上げてきたものすべてを捨てて避難してもかまわない」と
言っていることと変わらないことになります。

再稼動に賛成の方は黙っていてもかまわないんですが、
反対の方は「反対」と意志表示をしないと、賛成と見なされてしまいます。

◆原発周辺地域住民の賛同は原発稼働の要件

3・11以降、日本の原発をめぐる環境は大きく変わりました。
福島第一原発事故が起こって、原発は事故を起こすものだということが、明らかにされたからです。
原子力規制委員会は、「原発周辺地域の住民の理解と賛同が得られなければ、
その原発の再稼動は認められない」としています。

私たちは去年の9月に、広島市議会に
伊方原子力発電所再稼動反対の決議を上げて欲しいという請願を出しました。
この署名に拘束力はありませんが、広島市民の多くの人たちが
伊方原発の再稼動に反対しているというプレッシャーを、広島市議会に与えることができます。

この請願には、どなたでも参加いただくことができます。
もしよろしかったら、みなさんもご参加ください。

◆福井地裁の判決

福井地方裁判所の判決は、原告の「原発は、存在そのものが住民の人格権を脅かしている」
という訴えを全面的に認め、関西電力に大飯原発運転差止めを命じました。

◆次世代に負債を残していいの?

原発は、事故を起こさなくても、使用済み核燃料を次々と生み出します。
その処理問題はいっこうに解決していません。
次世代に負の遺産を残すことになります。
自分が生きている間に事故が起こらなければいいと、子どもの前で正直に言えますでしょうか?

使用済み核燃料は、原発が運転し続ければ、それは次々と増えていくだけです。
その処理を次世代に任せるということは、負債を次世代に押し付けるということです。
私たちの世代がすることは、いったい何なのでしょうか?

次世代に負債を残さない、それだけでも、原発に反対する理由になるんじゃないでしょうか?
そして、核燃料は、その存在そのものが私たちの生存権を脅かしています。