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発足会のご案内と参加のよびかけ

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「伊方原発再稼働に反対し広島市民の生存権を守る1万人委員会」(仮称)発足会のご案内と参加のよびかけ

▼発足会のご案内と参加のよびかけ(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20130118.pdf

 新しい年をいかがお迎えでしょうか。
 新年という言葉の華やいだ雰囲気とは裏腹に、私たち庶民には厳しい年となりそうです。厳しいといえば、2013年9月から日本国内で運転停止していた原発(東電福島第一原発5・6号機が正式廃炉となりますので、2014年1月末現在で48基の一般商業用原子炉)が今年再稼働することは確実な情勢です。


突出して審査が進む伊方3号機

 中でも、広島市から最も近い、四国電力伊方原子力発電所3号機の再稼動が迫っています。

 四国電力は、昨年7月に原子力規制委員会に伊方原子力発電所3号機の再稼動を申請し、原子力規制委員会の「規制基準適合性審査」では、2013年末までに65回中29回の審査会合で伊方原発が審査の対象になっています。これは、他の原発に比べて特に多い回数であり、審査会合の中身を見ても、伊方3号機の審査が突出して進展しています。このことは、現在再稼動を申請している9原発16原子炉の中で、伊方原発3号機が再稼動最短距離にあることを示しています。

 現在、四国電力の連動地震の基準震動値設定がまだまだ甘く、耐震設計評価で厳しい評価を受けていること、また、重大事故時の対応手順について四国電力の楽観的な評価が適合性審査会合で厳しく指摘されていることなどを除けば、ほぼ、大きなヤマ場は越えたとみても差し支えないのではないでしょうか?

 こうした情勢からすると、今年遅くとも3月までには「伊方原発3号機」適合性審査合格の判断が下されると考えられます。すでに愛媛県は伊方原発から半径30km圏(原子力災害重点区域)の広域避難計画を策定、実際に避難訓練も形ばかりですが実施しており、再稼働に前のめりな自民党安倍内閣の姿勢を考え合わせれば、伊方3号機再稼働を妨げる要因が現在のところ見当たらないのが現状です。


伊方3号機再稼働問題は私たちの生存権問題

 この伊方3号機の再稼動が広島市民にとって重大な問題となるのは、これが、私たち広島市民の「生存権」を脅かす問題となるからです。

 「生存権」とは、当たり前に人間らしく生きる権利です。いつ伊方原発が苛酷事故を起こすのかとビクビクしながら暮らす生活、いったん苛酷事故が起これば、大量の放射能が私たちの健康や生命を脅かす事態、さらに、苦労して手に入れたマイホームや生活の基盤、あるいは営々として築き上げた商売や仕事の基盤、先祖代々受け継いできた農地、豊かな瀬戸内海の恵みと永年の努力によって築き上げてきた水産業の基盤・・・こうした私たちの生活を支えている生活・経済構造すべてを奪っていく事態―「生存権」が脅かされるとは、これらのことすべてを指しています。いったん自らの生存権を奪われた私たち市民がいかに悲惨な状況に立ち至るかは、福島原発事故に襲われた福島現地の人たちの状況を見れば十分おわかりでしょう。

 福島原発事故以降、現在の原子力規制委員会による原子力規制行政は、旧原子力安全・保安院時代の「原発は苛酷事故を起こさない」とする基本的な考え方(いわゆる「原発安全神話」)を180度転換し、スリーマイル島原発事故やチェルノブイリ原発事故の教訓を踏まえた、「原発苛酷事故は起こり得る」とする「国際標準」を採用し、それを前提としています。

 この基本的考え方に基づき、原子力規制委員会は、福島原発事故並みの原発苛酷事故が発生した場合の、日本のすべての原発周辺の「放射性物質拡散シミュレーション」(2012年12月確定)を行っています。


伊方原発苛酷事故でヒロシマは「一時移転」-規制委シミュレーション

 伊方原発で福島原発並みの事故が起こった場合のシミュレーションでは、伊方原発から100km地点の被曝線量は1週間で4ミリシーベルトになるという結果が出ています。100kmというのは、広島市から伊方原発までの距離と同じです。

 もちろん、シミュレーションどおりのことが起こるとは限らず、放射性物質の大量放出時に風がまったく北北東に向かって吹いて来なければ広島市の被曝線量はこれに比べて小さくなると考えられますし、逆に、事故の規模が福島原発事故よりも大きく、風が北北東に向かって吹き続けていれば、広島市の被曝線量はこれに比べて大きくなると考えられます。しかし、原子力規制行政を行う当局である原子力規制委員会が、蓋然性のある一つの目安として、このような数値を出していることは極めて重要です。

 仮に1週間で4ミリシーベルトの被曝線量になるとすれば、広島市は間違いなく「原子力災害対策指針」(2013年9月5日全部改正・即日施行)で定める「一時移転」対象の区域となってしまいます。「一時移転」と言っても、このレベルの放射能汚染を被った地域が、事実上永久に人の住めない地域となってしまうことは、福島原発事故が如実に示すとおりです。「一時移転」とは言葉のアヤで、それは実際には永久避難区域です。たとえば、年間積算被曝線量が20ミリシーベルト以下(1mSv以上)の区域は、現在福島現地では「避難指示解除準備区域」という名前の「避難区域」となっています。政府が「大丈夫だ」「健康に害はない」と主張しても、それを信じて自分の幼い子どもや孫をその地に住まわせようとする人がどれほどいるでしょうか?

 このようなことを前提としながら伊方3号機の再稼動が進められているということを忘れてはいけないと考えます。つまり、福島原発事故以降の今、ポスト・フクシマ時代、伊方3号機で苛酷事故が起こる可能性がある、その場合、広島市から一時移転して二度と帰ってこられなくなる可能性が高い、このことが多くの広島市民に理解されていない、これが最大の問題です。なぜならば、このことさえ理解されれば広島市民全員が伊方3号機の再稼働に反対するだろうからです。その意味では、伊方3号機再稼働を黙認することは、広島を捨ててもかまわない、と言っていることと同じになります。


ヒロシマの世界的影響力

 市民的自由、生まれながらの平等などといった権利と共に、「生存権」は、憲法が保障する基本的人権の重要な一部をなしています。しかし、せっかく憲法に明文化された基本的人権も、これを守ろう、守らせようとする不断の努力なしには、一片の紙くずと化してしまうこともまた歴史の教えるとおりです。

 昨年9月17日に「四国電力伊方原発3号機再稼動に反対する広島市議会決議を求める請願」を広島市議会に提出しました。これは、日本国憲法で保障された自らの生存権を守ろうとする私たちの意志表示です。

 確かに、現行法令上は、広島市議会が伊方原発3号機再稼働に反対する決議を行っても、伊方3号機の再稼動を止める法的拘束力はありません。しかし、伊方原発の苛酷事故によって人の住めない地域になってしまう可能性のある「準地元」であり、118万の人口を持つ政令指定都市であり、そして、最初の被爆地である広島市の市議会が伊方原発再稼動に反対を表明すれば、その政治的・社会的影響力は非常に大きいと考えられます。

 特に、これまで「核兵器廃絶」を主導してきた人類最初の被爆地「ヒロシマ」が、「原発」には曖昧な態度をとり続けてきており、一部からは「偽善のヒロシマ」との批判を受けてきたことを考えれば、広島市議会が「ヒロシマから最も近い伊方3号機再稼働反対」の決議を出し、原発に対して曖昧でない明確な態度を打ち出すことは、世界中の反核勢力を大いに勇気づけ、逆に「核の軍事利用と平和利用は全く別物」と主張してきた世界の原発推進勢力に対しては大打撃となるでしょう。なぜなら「核」そのものが人類の「生存権」を根本から侵す存在であることを「ヒロシマ」が明確に意志表示することになるからです。その政治的影響力は計り知れなく世界的に大きいと考えることができます。


市議会議員も本音のホンネでは半分「原発ゼロ」

 それでは、広島市議会における「反対決議」可決の見通しは、といえばどうでしょうか?
 現在、広島市議会では、原発維持あるいは推進を政策とする政党系の市議会議員が大半を占めており、その見通しは決して明るくはありません。しかし、よく見ると、原発維持・推進を政策とする政党系の市議会議員の中にも、広島市民の生存権を根本から侵す可能性のある伊方原発の再稼動を憂えている議員は存在します。別の言い方で言えば、「原発推進・維持」の党議拘束に縛られ、自由な意志表示のできない議員も少なからず存在しています。(先日、小泉元首相が日本記者クラブの講演で「ホンネをいえば自民党議員も半分は原発ゼロに賛成だ」と述べましたが、これは広島市議会にも当てはまります。)

 一方で「原発問題はエネルギー問題、エネルギー問題は国の専管事項であり地方議会のテーマとしてはなじまない。」として、伊方3号機再稼動問題を「広島市民の生存権問題」として把握できない、いわば思考停止状態に陥っている議員も少なからず存在することも事実です。

 私たちは、こうした、「ホンネでは原発、特に広島に直接影響の大きい伊方3号機の稼働には反対」とする市議会議員たちを勇気づけ、一方で「原発問題はエネルギー問題」として思考停止状態に陥っている市議会議員たちを刺激・説得していかなければなりません。そのためには、「伊方3号機再稼働には反対」という広島市の選挙民の明確な意思を積極的に伝えていくことが極めて有効です。


反対決議共同請願人を1万人へ

 私たちは、そのための1つの方法として、広島市議会議員を「伊方原発3号機再稼働反対」決議へ導くために、「反対決議共同請願人」を1万人とすることを目標として定めることにしました。これは、約94万人の広島市の有権者の1%強にあたる数字です。

 2013年8月から開始した運動では、小さな市民グループ『結・広島』が共同請願人を募る活動母体となってきましたが、これでは約2000人が限界です。2014年からは、1万人が「四国電力伊方原発3号機再稼働に反対する広島市議会決議を求める請願」に参加する状況をつくっていく活動に発展させ、それにふさわしい活動母体を作ろうと思い立ちました。

 昨年12月22日、7名の参加により、広島市中央公民館研修室において、請願参加者1万人を展望するための新しい活動母体をつくるための相談会を持ちました。

 その結果、「伊方原発再稼働に反対し広島市民の生存権を守る1万人委員会」(仮称)という新しい活動母体を立ち上げること、その発足会を次の日時で行うことを決めました。


◆発足会
日時:2014年1月18日(土)
   13:00~16:00
場所:広島市中央公民館 3階 大集会室2
   (広島市中区西白島町24番36号アストラムライン城北駅から徒歩3分)


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発足会では、「伊方原発再稼働に反対し広島市民の生存権を守る1万人委員会」(仮称)をスタートさせるとともに、具体的活動目標・活動計画・組織形態・規約等について話し合います。

 四国電力伊方原発3号機再稼動の「危険の本質」を広島市民の幅広い層に知らせ、「四国電力伊方原発3号機再稼動に反対する広島市議会決議を求める請願」の共同請願人1万人をめざす活動に取り組む意志と条件をお持ちの皆様に、ぜひこの委員会および発足会にご参加いただきたいと存じます。

 ご多用とは存じますが1月18日の発足会にぜひご参加ください。

 また、1月18日の参加はむずかしいけれども、委員会に参加くださるご意志をお持ちの皆様、あるいは、委員会への参加はむずかしいけれども、活動にご協力くださるご意志をお持ちの皆様、ご一報いただけますと幸いです。

 困難な状況の中でも、新年にあたり、確かな一歩を積み上げていきたいと存じます。

準備会仮代表 原田 二三子