前後しますが、2月22日(土)第38回 広島 元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース 伊方原発再稼働反対ウォークの報告です。
今回のチラシは、次をご覧ください。
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http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20140222.pdf
今回のトピック
・日本の電力会社の高コスト体質
・日本の電力料金はなぜ高いのか?
・原発を検証しないと私たちは次世代への加害者に
・審査に時間がかかるのは誰のせい?泊原発審査に見る「原発安全神話」
・経産省・電力会社の言い分を一方的に刷り込むマスコミ
・いよいよヤマ場を迎える原子力規制委員会
原発再稼動のための規制基準適合性審査会合
・地元、地域の反対行動、意志表明が決定的に重要
参加した5人のスピーチから(テーマごとに整理してみました)
◇広島は伊方原発の地元◇
原子力規制委員会が、2月19日の会合で、「『原発立地地元』とは、どこまでを指すのか」という議論をして、「『原発立地地元』とは、原発がある自治体と、その周辺自治体である」という定義を、はじめて行いました。
今施行されている「原子力災害対策指針」の考え方に従ってこの定義を考えてみると、「原発からほぼ30キロ圏の自治体が『原発立地地元』」と、原子力規制委員会は定義したことになります。
ところが、この会合の後の記者会見で、「『原発立地地元』とは、30キロ圏でいいのか?」という質問に対して、原子力規制委員会の田中委員長は、「30キロ圏かどうかは、地元の住民が決めることだ」ということで、「30キロ圏」という言葉を避けました。
前後の流れからすると、田中委員長は、「もし原発苛酷事故が起きた場合は、その被害を受ける地域はすべて『原発立地地元』である」と言いたかったのだと思います。
これは根拠のあることです。
例えば、福島原発事故では、60キロ離れた飯館村が、いまだに避難区域になっています。
広島から最も近い伊方原発でもし苛酷事故が起きれば、というシミュレーションは、2012年の12月に行われました。
そのシミュレーションによれば、広島は1週間で4ミリシーベルトの被曝となり、「原子力災害対策指針」で言う「一時移転」の対象区域となります。
広島は、「原発苛酷事故の被害地元」ということになります。
そして、これらの話すべてを総合すれば、「広島は伊方原発の地元」と言うことができると思います。
◇地元が反対すれば再稼動はできない◇
田中委員長はもう一つおもしろいことを言っています。
「原発再稼動を決めるのは、手続き上は、内閣、さらに言えば、内閣総理大臣である。
しかし、原発の地元の人がダメだと言えば、再稼動はやはりむずかしいだろう。私たちもあきらめなきゃならない」
こういった意味合いのことを、記者会見の最後のところで、記者の質問に答えて、言っています。
これは、原子力規制委員会のホンネだと思います。
福島原発事故の後、いかにして原発に対する理解を求め、みんなの信頼を得ながら原発を再稼動させるか、これが原子力規制委員会の最大の使命です。
それをごり押しすれば、やがて日本から原発が追い出される、そういう危機感を原子力規制委員会は持っています。
ということは、原発を再稼動させないために最も重要なことは、地元、私たちが、しっかりと反対の意志表示をしていくことです。
こうやってデモで歩くだけでなく、市議会で決議し、市長が声明を出し、各議員が街角に出て原発反対を訴える、こういう状況こそ、再稼動をやめさせるためのキーポイントになるのだと思います。
その意味では、今、街を歩いておられるお一人お一人の意志表示、原発反対への固い決意が、原発再稼動をやめさせる大きな原動力になるということになります。
皆さんの意志表示は、今、一番大切だと思います。
◇規制委員会が行っているのは「安全審査」ではない◇
原発再稼動に向けて、原子力規制委員会が行っている審査は、「安全審査」ではありません。
原子力規制委員会は、重大事故は起こることを前提として、「規制基準」というものを決めています。
じゃあ、「規制基準」とは何なのかというと、例えば、事故が起こった際、格納容器のお釜が爆発しないように、最悪の事態にならないように、せめて最低限の設備を整えましょう、というものです。
つまり、機器の性能標準を決めて、それに適合しているか、苛酷事故が起こった際にちゃんと手順どおりに動けるように訓練するマニュアルができているかどうか、そういう訓練をするようにしているかどうか、こういうことが「規制基準」のポイントです。
「世界で最も厳しい『安全基準』において審査していて、これに通ればどんどん再稼動する」と安倍首相は言っていますが、規制委員会が決めているのは「安全基準」ではなく、行っているのは「安全審査」ではありません。
誰も「安全」なんか審査しておりませんので。
また、電力会社が再稼動に向けて行っているのは、「安全対策」ではありません。
規制委員会が「これだけはやっておきなさい」と言う最低限のことを、ただ満たしているだけです。
◇日本の電力料金が高い理由◇
原発が止まっているから電気料金が高くなるという話が、まことしやかに流されていますが、これはでたらめです。
今、日本の電力料金は世界でも一番高い料金となっていますが、それは何も原発が止まっているせいではありません。
むしろ、原発を持っているがゆえに、このような高い料金となっています。
今、全国の原発は止まっていますが、止まっている原発の維持・管理にかかるコストが、各電力会社の経営を圧迫しています。(チラシ5ページ表7)
もう一つ、大きな要因があります。
日本の電力会社は、火力発電所を、燃料コストの安い最新式の石炭火力発電所に替える努力を、長い間怠ってきています。
世界ではもう考えられないような、世界で一番高い石油や重油、(アジアハブから購入する)天然ガスを、燃料として使っています。(詳しくは、チラシ2~4ページをご覧ください)
そのために、日本の電力会社の火力発電の燃料費は、非常に高いものとなっています。
しかし、日本の中でも、例えば、「電源開発」という会社があります。
その会社の電力料金は、なんと、普通の電力会社の3分の1となっています。(チラシ5ページ表7)
これが、まともな経営をしている会社の電力料金です。
電力料金を安くするためには、今のように原発の維持にたくさんのコストをかけ、世界で最も高い燃料を買っている電力会社からの電力を買わなくてもいいようにしていけばいいだけです。
(「電源開発」も、大間原発などという原発を抱え込んでは、今のようなまともな経営ができなくなる可能性があります)
◇原発には税金から14兆円の補助◇
原発には、税金から、1954年から2011年までで14兆4000億の補助を出しています。
2011年だけで4300億円の補助が出ています。
私たちは、電気代のほかに税金から、原子力発電のコストを賄っているということです。
原発再開をさせようとしている力とは何なのか?
それは、このような既得権に乗っていこうとする力です。
その代わり、私たちの生活を非常に危険な位置に置こうとする力です。
◇進化を遂げる火力発電◇
原発が発電を続けていかなくてはならない理由は、(既得権に群がろうとする者以外の者には)まったくありません。
最近、画期的なことが起きています。
これまで二酸化炭素排出の元凶と言われてきた化石燃料―石炭や天然ガスの発電が、きわめて早い進化を遂げています。
天然ガスについては、今まで、電力転換率(発生した熱のうちどれだけが電力に転換できるかの割合)が40%であったものが、60%を超えています。
(ちなみに原子力発電の電力転換率は約30%でしかありません。)
つまり、これまで高い高いと言われていた天然ガスによる発電コストが、3分の1カットできるわけです。
同時に、二酸化炭素も3分の1カットできます。
それから、石炭についても、20%燃料効率がよくなったので、発電コストも二酸化炭素も20%カットできます。
◇伊方原発再稼動反対の意志表示を◇
3・11で、原発事故は決して起こってはならないものだということがわかりました。
3・11以降、原発は事故を起こすものだということもよくわかりました。
日本の原発は今すべて止まっていますが、再稼動の準備は着々と進められています。
止まっている原発の中で、再稼動最有力候補となっているのが、私たちの住む広島市から一番近い、四国にある愛媛の伊方原子力発電所です。
規制基準に適合している原発だからと言って、事故を起こさない安全な原発ではありません。
事故が起こらないという保証は一切されていません。
伊方原発で事故が起これば、原子力規制委員会のシミュレーション結果と避難基準を照らし合わせると、広島市内は「一時移転」となります。
「一時移転」と言っていますが、これは、広島で築き上げてきたものをすべて捨てて避難し、広島市に戻ってくることはできなくなることを意味しています。
原子力規制委員会は、地元の理解と賛同が得られない原発の再稼動は認められないと言っています。
地元というのは、その原発で事故が起こった際、被害を受けるかどうかということで判断されています。
100キロ離れていますが、伊方原発で事故が起これば、広島市には人が住めなくなるほどの被害が想定されています。
原発は、事故を起こすものとなったので、その周辺に住む、事故が起こったときに被害を被る人たちの判断が、大事な要件となってきました。
原発の再稼動は、地元の反対で止めることができます。
広島市議会に、伊方原発再稼動反対の決議を求める請願を、去年の9月に提出しました。
この請願にぜひご参加ください。
「広島市議会に伊方原発3号機再稼動反対決議を求める」請願活動は、現在も継続中です。
請願署名も募っています。
現在、広島市在住の方の請願署名数は、2082筆となっています。
広島市在住の皆様、ぜひご参加ください!