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11月9日 本通りウォーク報告

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◇11月9日(土)第31回目の広島 元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース 伊方原発再稼働反対ウォークの報告です。

出発予定の15:00の15分ほど前にスタート地点に行くと、
なんと、一方の広島県知事候補の支持者の方々が元安橋東詰めに集結し、
同じ時間・同じ地点から本通りを練り歩くようです。
選挙妨害になってはいけないので、急遽出発地点を少しずらし、
本通りのアーケードに少し入ったあたりからウォークを始めました。

今回は5人で歩きました。

今回は、伊方原発3号機再稼働問題についての広島県知事候補へのアンケート結果の報告の中に、広島市議会への請願署名用紙を挟んで配りました。
 ↓
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/ikata20131108_A4.pdf

広島から一番近い原発、広島市から100キロ、広島県境までは60キロの、
四国電力の伊方原発3号機の再稼働が迫っています。

現在の原発規制行政は、「原発過酷事故は起こり得る」ということを前提としています。
原子力規制委員会のシミュレーションによれば、伊方原発で福島第1原発事故なみの事故が起こった場合、広島市の被曝線量は1週間で4ミリシーベルトになり、
原子力災害対策指針に基づけば、広島市は「一時移転」の対象となります。
したがって、伊方原発3号機の再稼働問題は、広島県民の「生存権」の問題です。

広島県知事選挙を前に、広島県知事候補のお2方に、伊方原発3号機再稼働問題についてのアンケートを行いました。
両候補とも、文書で回答を寄せてくださいました。その内容を、上記の報告の中に示しています。
質問は、伊方原発3号機の再稼働に「明確に反対の意志表示をされますか? 黙認されますか? 積極的に賛成されますか?」という3択の質問にお答えください、また、できればその理由をお示しください、というものでした。
大西候補は、「明確に反対の意思表示をする」というお答えでした。
湯崎候補は、この3択の質問に対するお答えはありませんでした。
両候補とも、「伊方原発3号機の再稼働問題は広島県民の『生存権』の問題である」という視点からのお答えが無かったことが、残念でした。

広島県民の生命・健康・財産(広島県民の生存権)を守ることは、広島県知事の最も重要な責務であるはずです。
広島県知事になられる方には、ぜひとも、広島県民の生命・健康・財産(広島県民の生存権)を守るという責務を果たしていただきたいと思います。

今回参加してくださったNさんは、
今、日本中の原発が停止しているが「電力不足」にはなっていないこと、
現在、火力発電における天然ガスからの熱交換率を、従来の40%から61~62%にまで向上させる(原子力発電の場合は30%程度)技術革新がすでに行われていること、
原発を再開させる必要はまったく無い、ということを話してくださいました。

◇次回第32回のウォークは、
11月23日(土)15:00~16:00
元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース
という予定です。
よろしかったらご参加ください!

*なお、前回(第30回)の報告で紹介した「伊方原発再稼働反対 広島市議会決議 請願行動進捗報告 No.2」の中で、請願の紹介議員になってくださった山内正晃議員のお名前が間違っていました。
大変失礼いたしました。お詫びして、訂正いたします。
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131026.pdf

広島県知事候補の回答に対する感想と論評

多くの方々からの感想を論評を期待します。

◆質問書
質問の内容は結・広島のwebサイトに簡潔にまとめておりますのでご覧ください。
▽経緯説明含めての「結・広島」の記事
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=35

▽広島県知事両候補に提出した質問書
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131028.pdf

◆両候補より回答

▽大西オサム候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/oonishi_kaitou.pdf
▽大西オサム候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=38

▽ゆざき英彦候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf
▽ゆざき英彦候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=41

<<感想と論評>>
※随時追加アップいたします。


◆広島市 つなさき さん <追加更新11月5日20:30>

お二人とも県知事候補としての自覚がないのか、福島第一原発の事故をあまりご存知なく伊方原発の危険性についても認識されていないのか、どちらともなのか、いずれにしても次の県知事は伊方原発から広島県民の生活と生存を守るために具体的に何かをするということは無さそうだなということがよくわかりました。
肝心の被曝についてはどちらも具体的に何が問題かが論じられることなく、言ってみれば原発が好きか嫌いかの話になっている点に絶望感を覚えます。原発が選挙の争点にならないほど風化したのだなと感じました。
また、自然エネは原発に反対する上で必要なものではありません。固定価格買取り制度は我々有権者に直ちに影響のある制度です。自然エネと原発で好き嫌いを論じればどういう結果が導き出されるかは明らかです。そして、代替エネという発想は原発があるべき姿という考えが前提です。代替としての自然エネは再稼働を必要とします。意図的なのか知らないのかは分かりませんが、この点に言及しているのは注意が必要と思います。


◆広島市 大歳 さん<追加更新11月6日 0:34>

大西候補の回答はさておき、ひどいのは現職ゆざき知事の回答。
伊方の再稼働について「賛成か、反対か、黙認か?」の質問に別の形式で答えています。
その中身を読めば、「黙認する」に最も近いような感じはしますが、堂々と「黙認する」とは書けなかったのでしょう。
3択に答えていないのは、置いておくとして
同氏は「伊方原発3動機再稼働についてどう考えるか」という自らつくりかえた問いに4つの項目で答えていますが、
4つのうち3つは伊方原発ではなく原発一般に対する答えとなっており、
さらに残りの1項目に関しても愛媛県と連携するとしか答えていません(何をどのように連携するのでしょう?)。

はじめの3つの回答の文末を切り取ってみましょう。
 〇国民的議論のもと見直しが必要であると考える。
 〇国民的議論が加速されることを強く期待している。
 〇国において責任を持った判断がなされるべきであると考える。

すべて人任せで自分の考えがどこにもありません。

揚げ足とるような感想になってしまいましたが、もう一つ。
2項目の「国においては”エネルギー基本計画”年末にをまとめる方向で~」とありますが、
年末には知事選は終わっており、
国の方針が知りたくて結・広島の人たちはこの質問状を知事候補にあてたのではないでしょう、と思います。


◆廿日市市 森本道人 さん<追加更新11月6日 15:20>

結・広島より、広島県知事候補の大西理氏と現職知事候補の湯崎英彦氏に以下の質問をしておりますが、

四国電力伊方原発 3 号機の再稼働に明確に反対の意志表示をされますか?
沈黙を守られますか?
積極的に賛意を表明されますか?

まず、この3択の質問にきちんと答えられたのは大西候補だけでしたので、そこを評価します。また、明確に反対の意思表示をするという回答は私と同意見であり、回答理由より伊方原発への知識も高い事が分かりましたので、大いに評価いたします。しかし、具体的に広島県民の放射能による被曝影響の事はが書かれてはいなかったので、どのように考えているのか聞いてみたいものです。

そして、湯崎現知事は3択の質問にすらきちんと答えられておりいません。自ら、再稼働についてどう思うか?という新たな質問を作り出しています。(非常に残念です。)
そして、その内容ですが国の方針に従う。国民議論を加速していく必要がある。と、知事としての意見はありませんでした。
そして、3択の質問のどれにも該当しませんが明確に反対の意思はなく、国は原発推進の方針ですから、それにただただ従うのだと私は理解させて頂きました。


◆広島市 哲野イサクさん


▼大西候補回答に対して▼
<11月4日 03:40>

結・広島が広島県知事候補の大西理(届け出名:大西オサム)と現職知事候補の湯崎英彦氏(届け出名:ゆざき英彦)の両氏に「伊方原発3号機」に対する県知事候補としての姿勢と見識を問う質問を出し、11月6日の回答期限前に大西候補から回答が届き、すでに結・広島のサイトにアップロードされました。

県知事候補として、広島県民の大きな懸念事項の1つである四国電力・伊方原発3号機再稼働問題に積極的に反応していただき、期限前にも関わらず回答を寄せられ、中で明確に伊方原発3号機の再稼働に反対の意志表示をされていることは、大いに評価できると考えます。これは一種の選挙公約と解釈することができもし大西候補が県知事に当選されればまず一番に広島県知事として「伊方原発再稼動反対」の県知事声明を出されるものと期待いたします。

しかしながら個別論ではやや首肯しかねる点があることは否めません。以下に列記します。

1,回答の全体を通して、私が不満を持つ点は、大西候補は「伊方原発再稼働」に関して、候補者として広島県知事の第一義的責任、すなわち広島県民の生命・財産を守る県内行政上の最高責任者としての立場からの言及がなかったことです。
  広島県知事は様々な政策課題があることは私も承知しております。しかしいかなる政策課題を掲げようが、広島県民の安全と健康、生命・財産を体を賭してでも守り抜くことが最優先事項でなくてはなりません。経済発展も、格差是正も、大企業中心の予算配分から、県民の生活優先の予算配分の転換も、すべては広島県民の安全と健康、生命・財産の確保一言でいうなら、「生存権」というもっとも重要な基本的人権の1つが確保されての話です。いわば「伊方原発再稼働反対」は単なる「スローガン」ではなく、広島県の政策課題として取り上げられねばなりません。政策課題としては最優先事項の筈です。そこへの言及がなかったことは残念に感じます。

  伊方原発再稼働による苛酷事故発生は、原子力規制委員会の規制基準適合性審査の議論を読む限り、「絶対に起こってはならないこと」としては捉えられておらず、確率の問題として捉えられていることは明らかです。規制委の議論は、苛酷事故の発生の蓋然性をできるだけ小さくしよう、万が一重大事故が発生したならこれを苛酷事故に発展させないために様々な規制基準 (Reguratory Requirments)を設けているのです。いわば苛酷事故発生は「確率論」の問題として捉えています。ですから田中俊一規制委員会委員長自身が「ゼロリスクというものはないんだ・・・(苛酷事故発生のリスクゼロ)に対して私どもははっきり万歳しているんです」(4月3日定例記者会見)というように、規制委員会の仕事はリスクを限りなくゼロに近づけようという議論にならざるをえないわけです。

 伊方原発苛酷事故は、再稼働の百万年後におこるかもしれません。しかし確率論で論ずる以上、それは再稼働の翌日かもしれません。
 まさに神のみぞ知るであります。私たちは、伊方原発苛酷事故発生が確率論で論じられているところそのものに大きな懸念をもっているわけです。
 ましてや伊方原発苛酷事故発生(フクシマ原発事故と同程度の苛酷性)にともなう放射性物質拡散シミュレーションが、かなりの蓋然性をもって示され、そのシミュレーションで広島県西南部は原子力災害対策指針でいうところの「OIL2」(一時移転対象区域)となることが明示されている状況では、私たちの懸念は妄想どころか、はっきりした現実味を帯びて私たちにせまってきています。

 言いかえれば原子力規制委員会は私たちにつぎのように事実上告げているわけです。
 「現在の規制基準に従って、伊方3号機が適合性審査に合格すれば伊方3号の再稼働を認めますよ。ただし絶対事故が起こらないと保証はできません。
 規制委としては、苛酷事故の可能性をゼロにすべく最大限の検討を加え、ベストをつくします、しかし原発事故にゼロリスクはありません。万が一発生する可能性がないとはだれにもいえません。その万が一の時には、一応シミュレーションも出しておきました。みなさんはこのシミュレーションを参考にして万が一の備えをしておいて下さい。よろしいですか、規制委としてはやれることはすべてやりつくしましたよ、正直に現状もお伝えしました。後は皆さん方の責任です。万が一の時にはご自身で身を守ってください」

 しかし私たちはこの規制委員会の言い分を認めるわけにはいきません。私たちは「苛酷事故ゼロリスクの保証か、さもなくば再稼働の断念か」といっているのです。私たちの「生存権」を確率論で論じられてはたまりません。規制委員会は私たちの運命を「確率」という形で「神の手」に委ねていますが、私たちはそうではありません。私たちの「運命」を「神の手」から取り戻し、私たち自身が決定したい、といっているのです。それには 「伊方原発の稼働断念、廃炉」という結論しかありません。

 残念ながら、「伊方原発再稼働決定問題」は政治的には私たちの手を離れています。ですからこそ広島県知事の断固たる意志表示が決定的に重要になり、この政策を広島県政の根本において欲しい、というのが私たちの要求なのですが、大西候補のこの問題に対する研究・思索の深さや高い政治的見識は窺えなかった、むしろスローガン「としての原発反対」の延長としての「伊方再稼働反対」の主張に思われ、ややステレオタイプな「原発反対」のリフレインに しか感じられなかった、と言わざるをえません。


▼広島県知事候補 湯崎英彦氏の伊方原発3号機再稼働問題をめぐる回答について▼
<追加更新11月6日 23:09>

 湯崎候補者(現職知事)の回答はいろんな意味で不誠実と言わなければならない。(期限前に書面で回答を返されたことは大いに評価されなければならない。しかも選挙戦の真っ最中、県内遊説の忙しい合間を縫っての回答であることを考えるともって多としたい)

不誠実というのは以下の理由による。
 国や各省庁、経済界、政党、大手既成マスコミ、少なからぬ環境主義者やそのグループ、これも少なからぬ学者・研究者、一部の“反原発”“脱原発”を標榜する市民グループですら、「原発問題」を「経済・エネルギー問題」の一部として捉えてきた。「原発の段階的解消論」や「自然エネルギーへの代替論」などもこうした議論、すなわち「原発問題はエネルギー問題」という捉え方の延長線上にある。現職広島県知事として、あるいは原発推進の総本山経済産業省のそのまた中核組織である資源エネルギー庁で高級官僚の経験のある湯崎氏が、「原発・エネルギー問題」から私たちの問いに対して回答を寄せることは十分予測できた。なるほど、原発問題をエネルギー問題として論じる視点もあるだろう。それは否定しない。

しかしこの問題を別な角度から論ずる視点もありうる。特に福島第一原発事故を経験し、四国電力・伊方3号機の再稼働が目の前に迫り、しかも原子力規制委員会の放射性物質拡散シミュレーションが公表され、万一原発苛酷事故発生の際には広域避難が義務づけられ、すでに一部実施した原発立地自治体が現に存在する現状では、原発問題をエネルギー問題としてではなく私たちの「生存権問題」として捉える視点もまた立派に成立する。

質問書を読んでいただければ了解されるが、質問書は前段で情理を尽くして「生存権問題」の視点を成立させている。その上での質問だった。この「生存権」の視点に対して、湯崎回答は旧態依然たる「エネルギー問題」の視点からの回答となっている。つまりは議論がかみ合わない。議論がすれ違えば、折角この問題を深く掘り下げる機会は生じない。

「~はどうですか?」「~はいかがお考えですか?」式の漠然とした質問では、この種の回答がかえってくることは十分予測できた。このため質問は、「明確に反対するか?」「沈黙を守るか?」「積極的に賛成するか?」の三択形式とし、その理由説明を求める形となった。

この質問に対し、湯崎氏は「問 四国電力伊方3号機の再稼働にたいしてどのように考えるか」と質問書で問うていない、すなわちありもしない架空の質問をわざわざ立てて、この架空の質問に答える形になっている。(湯崎候補回答 1行目参照のこと http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf

対話する当事者としても不誠実だが、これは人間としても不誠実なのでは、という疑念を抱かせる。

原発問題を生存権問題として捉え議論し、問題を深めようとする意図は流産である。流産の責任は挙げて湯崎氏にある。「生存権」の視点が湯崎氏に理解できないとは考えにくい。読めば理解できることだ。つまりは、湯崎氏は質問書の意図・視点を十分に理解しながらあえてこの視点は存在しないと無視し、エネルギー問題として回答されたことになる。特に質問書の趣旨が広島県民の生存権問題に言及し、県民の生存権を防衛する行政上の最高責任者が広島県知事であり、湯崎氏が現職候補者であってみれば、その姿勢は県知事としても不誠実、といわねばならない。その職責の重さを考えると不誠実を通り越して“無責任”と形容しなければならないほどだ。県知事としての適格性を欠いている、と結論しなければならない。

広島県は(広島県に限らないが)地方自治法でいう地方公共団体だ。その意味で広島県は西欧諸国やアメリカで見られるような地方政府ではない。国の下請け機関、といって悪ければ国の行政端末である性格を色濃くもっていることはやむを得ないだろう。しかし、県民の安全と健康、生命・財産に関する問題、一言でいえば生存権の問題まで、国の行政端末であっては県民としてはたまらない。湯崎氏の回答は、原発問題をエネルギー問題として捉え、その上で対応の仕方は国の行政端末に徹している。従って、伊方原発3号機再稼働問題に関しても、独自の勉強や研究、思索を深めた形跡は、回答書を読む限り微塵もない。まるで湯崎氏からの回答が、経済産業省からの回答だとしても見分けはつかないだろう。

広島県知事は単に行政端末の長ではない。同じく地方自治法は「地方公共団体は住民の福祉を基本」とすべしと明記しているし、現に広島県知事は戦前のように政府が任命しているのではなく、私たちの投票で選ばれている。湯崎氏が、「伊方3号機再稼働問題」を眺める時、単に「エネルギー問題」としてしか捉えておらず、従って県民の生存権問題としての視点を持ち得ないのであれば、「ポスト・フクシマ時代」の広島県知事として大きな懸念をもたざるをえない。

仮に100歩譲って、原発問題をエネルギー問題として捉え、エネルギー問題としての「原発の安全性」という課題に対処する県知事としても、大きな疑問を感じさせる回答だった。湯崎氏は次のように回答している。
 「原子力発電所の再稼働につきましては,原子力規制委員会が取りまとめた新たな基準による安全性の評価を踏まえた上で,国が国民に対して十分な説明を行い,立地県の意向も尊重しながら,国において責任を持った判断がなされるべきものと考えている。」

 原子力規制委員会が行っている「規制基準適合性審査」は「原発の安全性」について評価しているのか?原子力規制委員会が「規制基準適合性審査会合」で行っている審査は、原発個別の安全性を評価しているのではない。規制委員会自身が、個別の原発の安全性については評価できない、なぜなら原発に関して苛酷事故の「リスクゼロはない」といっているのだから。(2013年4月3日規制委員会会合後の定例記者会見の席上、田中俊一委員長のコメント)
 それでは原発の安全性はどうやって担保するのか?完全無欠な安全性については「私どもは万歳しているのです(お手上げ状態という意味)」(同田中委員長)
 つまり規制委員会は完全に「原発安全神話」と訣別したのである。それでは今後原発を推進していくにあたって「原発安全神話」に何を対置するのか?それが「確率論的安全評価」(PSA=Probabilistic Safety Assessment)の考え方である。PSAとはわかりやすく言うと、「原発苛酷事故は避けがたい。しかし発生頻度を最小化することはできる。最小の頻度を設定して安全目標とし、その観点から安全評価」をするということである。(原子力規制委員会は現在、PSAに基づいて福島原発並の苛酷事故発生頻度を1炉あたり100万年に1回を目指したい、といっている)

 安全目標ができれば、その安全目標に対応した原発の「性能目標」(器機や装置などの仕様目標)ができる、これが現在の「規制基準」である。その間の事情は、2013年4月3日の原子力規制委員会で委員長の田中俊一氏が次のように説明している通りである。
 「安全目標やそれにより導かれた性能目標を達成する工学上の工夫の在り方を示すのは『規制基準』という言い方をされておるんですが、先週のプレス会見で、私見として申し上げたんですが、今まで『安全基準』という言葉を使ってきたんだけれども『規制基準』の方が適当かもしれないということを申し上げています。」「『安全基準』というと、基準さえ満たせば安全であるという誤解を呼ぶことがあって、私も先にプレス会見で御指摘をいただいて、傾聴に値しますということで、先週『規制基準』がいいという話をさせていただきました。(同日規制委員会議事録32p~33p)

 要するに「性能目標」は「安全目標」と切っても切れない関係にあるが、性能目標を安全目標と勘違いされては困る、性能目標をクリアすれば安全なんだ、と思われては困る、ということだ。従って現在規制委員会で審査されているのは、安全目標に対応する性能目標(規制基準)なのであって、決して個別原発の安全性を審査しているのではない、という基本理解が決定的に重要になる。そして原発の安全性は実際の稼働の中で事業者(電力会社)が、努力して高めていくものであり、規制委が安全性そのもを評価することはできない、としている。

 にも関わらず湯崎氏は回答で「新たな基準による安全性の評価を踏まえた上で,国が国民に対して十分な説明を行い」と述べている。規制委員会は新基準による原発の安全性を評価している、この湯崎氏の誤解はいったいどこから出てくるのか全く理解に苦しむが、想像するに湯崎氏が資源エネルギー庁の高級官僚時代に華やかだった「原発安全神話」の発想そのままで、現在の規制基準とその適合性審査を眺め、現在進めているのは「安全性審査」だと早とちりをしているとしか考えられない。

 これを見ても、湯崎氏が「ポスト・フクシマ時代」の県知事、その南端県境わずか60kmあまりの場所に四国電力・伊方原発を抱える広島県知事として危機感が欠如しており、広島県民の生命・財産を守り抜こうという固い決意が見られない(この点は回答書を読む限り、大西候補も同様である)、つまり広島県知事としての基本的適格性を欠いていると指摘しておきたい。

 さらに踏み込めば、私たちは広島県民として、原子力規制委員会の原発安全性に関する基本的考え方、すなわち「確率論的安全評価」(PSA)そのものを批判しているのである。なるほど原子力規制委員会にとって原発苛酷事故は「確率論」問題かもしれない。しかし私たち広島県民にとって伊方原発の苛酷事故は「確率論」ではない。絶対安全でなければ稼働しては困ります、「フクシマ原発事故」が広島市からわずか100kmの場所で起こるのは絶対やめてくれ、その可能性が100万分の1あるのなら稼働させないでくれ、というのが私たちの立場だ。確率論で論ずる以上、伊方原発苛酷事故は100万年後かも知れないが、同時にそれは稼働の翌日かも知れないのだから。

 「確率論的安全評価(PSA)」はチェルノブイリ事故後、世界の原子力規制行政の標準的考え方となった感がある。長い間「原発安全神話」にどっぷり浸かってきた日本の規制行政は、フクシマ事故後1年も経ってやっと世界標準のPSAをその規制行政にとりいれた。しかし取り入れた途端に、PSAは時代遅れとなってしまっている。

 それでは原発推進の立場に立って、最新の原発規制行政の考え方はいったいどんなものか?それは先日来日して講演を行った前米原子力規制委員会委員長、グレゴリー・ヤツコ氏が述べた考え方である。ヤツコ氏はいう。
 「仮に原発がいかなる苛酷事故をおこしても、その影響を一切原発敷地外に及ぼさない、そのような安全基準を開発すべきである。そのような安全基準ができるのかどうか甚だ疑わしいが、すくなくともそのような安全基準ができるまで、現在の原発は稼働を停止しておくべきである」(2013年9月20日夕刻広島市内の講演会で)
 ヤツコ氏は原発反対派ではない。少なくともその経歴をみればむしろ原発推進派に属する。そのヤツコ氏が、フクシマ原発事故に直面し、米原子力規制委員会委員長としてその職責を全うしようと、思索を深めた結果が上記のコメントである。

 プロセスは異なれ、原発推進派のヤツコ氏の結論が、期せずして私たち反原発派の結論と一致したのである。氏の見解は、伊方原発再稼働を目前に控えた私たち広島県民にあらがい難い説得力をもっている。


◆広島市 原田二三子 さん<追加更新11月7日 01:31>

両候補が、非常なご多忙中であるにもかかわらず回答をお寄せくださったことに、まず感謝致します。

【湯崎候補の回答について】

回答を寄せてくださった順序とは違いますが、初めに、湯崎候補の回答についての感想です。

 私たちの質問は、次のとおりでした。

「広島県民の生命・財産を守る権利、安全と健康を守る権利、一言でいえば憲法で認められている基本的人権のもっとも重要な構成要件の1つである「生存権」に対して第一義的に責任を負うのは広島県知事だと考えていますが、その広島県知事候補として

四国電力伊方原発3号機の再稼働に明確に反対の意志表示をされますか?それとも沈黙を守られますか?それとも積極的に賛意を表明されますか?」

 ところが、湯崎候補の回答では、質問が、「四国電力伊方原発3号機の再稼働についてどう考えるか。」というものにすり替わっています。つまり、私たちの問いに対して湯崎候補は答えておられず、「回答」を寄せてくださったように見えながら、実際には回答してくださっていないということになります。非常に残念です。
 
 その上で、質問への回答ではないものの、湯崎候補の見解が示されているお答えについての感想です。
 
 まず、非常に不適切な言葉の使い方があります。3項目目の「原子力規制委員会がとりまとめた新たな基準による安全性の評価」という表現ですが、原子力規制委員会が行っているのは、「規制基準適合性審査」であって「安全審査」ではありません。「規制基準」をクリアすれば「安全」であるとは言えないということは、原子力規制委員会自らが認めていることです。
 
最も残念なことは、「原子力発電所の再稼働」については、「国において責任を持った判断がなされるべきもの」というお考えしか示しておられないこと、「伊方原子力発電所の再稼働」については、「愛媛県と連携する」というお考えしか示しておられないことです。
「広島県知事」としての主体性はどこにあるのでしょうか?
質問にも書いたとおり、「広島県知事」は、広島県民の「生存権」に第一義的な責任を負うべき存在です。その責任を果たされる姿勢のまったく見られない湯崎候補のお答えに、深く失望します。

【大西候補の回答について】

 大西候補は、まず、三者択一の私たちの質問にまともに答えてくださっています。

 そして、「『再稼働に明確に反対の意思表示』を致します」というお答えは、伊方原発3号機再稼働に反対している私たちとしては、歓迎すべきお答えです。

 しかし、その「理由」の中に、「広島県知事」として広島県民の「生存権」を守る立場からの見解が示されていないことは、湯崎候補の場合と同様、残念に思います。


◆広島市 重広麻緒 さん<追加更新11月7日0 1:34>

伊方原発再稼働問題に関する質問状への広島県知事候補者の回答を読んだ感想

大西候補の回答:伊方原発再稼働反対の意を表明します。

共産党は反原発を掲げているので予想通りの回答でした。

ゆざき候補者の回答:原子力発電所の再稼働につきましては、原子力規制委員会が~略~
国において責任を持った判断がなされるべきと考えている。

3択の中からはお選び頂けませんでした。
しかも候補へ質問は「反対?賛成?黙認?」から「伊方原発再稼働問題についてどう考えているか?」に差し替えられていました。

「国民的議論のもと見直しが必要」「国民的議論の加速に期待」と「国民的議論」が二回も出てきます。
「国民的議論のもと」とはなんのことでしょう?
国民的議論をする場でも設けてくれるのでしょうか?
何を国民的議論の表れと捉えているのでしょうか?
まさか選挙の投票結果のことでしょうか?
国民的な議論を国会でしてくれるという事でしょうか?
この問題を国会まで持っていってくれるという約束をしてくれた?!と捉えても良いんでしょうか?
候補自身がどう考えているのかがわからないです。そこが聞きたいです。
あまりに人任せです。
そして「国において責任を持った判断がなされるべき」と、今度は国任せにしています。

エネルギー問題として捉えているようですが、伊方原発再稼働問題は私達の死活問題です。
「電気が無いと生活出来ない=生活を守る為には電気を確保する」とお考えなのでしょうか?
命が無ければ、住む場所が無ければ生活は出来ません。エネルギー問題以前の命の問題です。
原発が動いていなくても電気は足りているので「代替えエネルギーの問題」でもありません。
原子力発電はコストもかからない発電方法と謳っていますが実際はそうではありません。
だから「コスト増加に伴う国民の負担増の問題」でもありません。
そもそも経営努力をせず燃料高騰を理由に電気料金を上げるのは電力会社の怠慢ではないでしょうか?

「愛媛県と連携し、対応していく」とあります。
大西候補の回答の中で愛媛県知事は推進派とかいてありましたが、愛媛県と連携し伊方再稼働を進めていく、ということではありませんよね?
連携していくと回答したからには必ずや愛媛県と
伊方原発再稼働問題について議論してくれると期待しております。

ゆざき候補の回答は回答になっていないと思いました。
慎重に検討していきますという姿勢を見せて、国が政策を打ち出せばそれに従うのだろうと感じます。

福島で原発事故が起こり被害は膨大で今も悪化し続けています。
それを見るだけで原発事故はもう決して起こしてはならないものだと誰でも分かります。
それなのにこれからの日本では「原発は事故を起こすもの」が前提で再稼働されます。
再稼働すれば事故を起こす可能性は高まります。

広島県民を守る立場の県知事に立候補した候補として県民を危険に晒す事など容認出来ない、
何を差し置いても県民を守るという確固たる姿勢を見せてほしかったし、そうあるべきだと思います。

広島県知事候補への「伊方原発」問題に関する質問書の件 感想・論評を

みなさま

「結・広島」から10月28日に広島県知事両候補(大西オサム候補・ゆざき英彦候補)に質問書を提出しました。
質問の内容は結・広島のwebサイトに簡潔にまとめておりますのでご覧ください。
▽経緯説明含めての「結・広島」の記事
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=35

▽広島県知事両候補に提出した質問書
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131028.pdf

両候補より回答を頂きました。

▽大西オサム候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/oonishi_kaitou.pdf
▽大西オサム候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=38

▽ゆざき英彦候補回答(PDF)
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf
▽ゆざき英彦候補回答 結・広島webサイト掲載
http://hiroshima-net.org/yui/index.cgi?no=41

ご覧ください。

そして大事な事は色んな方々からの感想・論評だと思います。
是非、感想・論評がありましたらお寄せください。
結・広島及び広島2人デモのwebサイトにて掲載し
web上にて議論・討論出来ればと存じます。

なお感想・論評は「結・広島」代表メールまでお願いいたします。
yui@hiroshima-net.org

口頭やツイッター上で批判めかしたことや
ちょいらかし、からかい、皮肉はいくらでも飛ばせます。
しかし、それは本当の市民力にはなりません。
市民一人一人がしっかりした批判力を身に着けることが
今、一番大切なことだと思います。
今回はいいチャンスだと思いますので
優れた批判精神に富んだ、論評・感想をお寄せください。

なお、議論を深めると言う意味で、もちろん広島県民の方でなくても結構です。
宜しくお願いいたします。

「結・広島」事務局
網野沙羅

湯崎県知事候補より回答

湯崎県知事候補より回答がありました。

▽質問書
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131028.pdf

▽湯崎英彦県知事候補回答
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/yuzaki_kaitou.pdf

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市民グループ「結・広島」への回答

H25.11.1

(問)四国電力伊方原発3号機の再稼働についてどう考えるか。

(答)
○原子力発電を含むエネルギー政策については,国民生活や経済活動に支障なく,安定的なエネルギー供給がなされるということを前提として,・自然エネルギーを含む再生可能エネルギー等の確保策として代替可能性・コスト増加による国民に対する負担増や,経済活動への影響などの観点から,国民的議論のもと見直しが必要であると考えている。

○国においては,日本全体のエネルギー政策の基本的な方針を定める「エネルギー基本計画」を年末にまとめる方向で検討が進められており,こうした中で,今後原子力発電のあり方につきましても,国民的議論が加速されることを強く期待している。

○原子力発電所の再稼働につきましては,原子力規制委員会が取りまとめた新たな基準による安全性の評価を踏まえた上で,国が国民に対して十分な説明を行い,立地県の意向も尊重しながら,国において責任を持った判断がなされるべきものと考えている。

○伊方原子力発電所につきましても,愛媛県と連携し,適切に対処して参りたいと考えている。

広島県知事候補者
湯崎英彦

10月26日 本通りウォーク報告

ファイル 40-1.jpg

◇10月26日(土)第30回目の広島 元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース 伊方原発再稼働反対ウォークの報告です。

今回は15:00にスタート。 4人で歩きました。

今回は、広島市議会への請願署名用紙に、「伊方原発再稼働反対 広島市議会決議 請願行動進捗報告 No.2」を挟んで配りました。
広島市議会決算特別委員会での田尾健一議員の質問とそれに対する広島市当局の回答についての報告です。ぜひご覧ください。
 ↓
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131026.pdf

(「結・広島」のHP http://hiroshima-net.org/yui/ の「コンテンツ」の「請願後報告」欄にも掲載してあります。「10月26日報告No.2」をクリックしてください。)

  • ----------------------------------------------
  • 広島県知事選挙の選挙運動が始まっており、本通り電停前の交差点では、大音量で現職候補の応援演説が行われていました。
    参加者が、それぞれスピーチしながら歩きました。


    広島市から一番近い原発は、広島市から100キロのところにある四国電力の伊方原発です。
    この伊方原発の再稼動が迫っています。
    現在の原子力規制行政は、「原発苛酷事故は起こり得る」ということを前提としています。
    原子力規制委員会のシミュレーションでは、伊方原発で福島原発事故なみの事故が起こった場合、
     1週間の被曝線量は4ミリシーベルト、
     1時間あたりの空間線量率に直すと40マイクロシーベルト/時間、
    になることが予測できます。
    広島市民は、防護服を着ていても長くは留まれないような放射線レベルの中に、生身のまま投げ出されることになります。
    この線量レベルは、現在の原子力災害対策指針に基づくと、「一時移転」のレベルです。
    「一時移転」とは言いますが、おそらく二度と広島に帰ってくることはできない、そのようなレベルの放射能汚染の中に、広島市が包まれてしまうということです。


    日本の原発は、事故を起こさないことが前提で稼働してきましたが、福島で苛酷事故は起こってしまいました。
    事故が起こってしまってからの日本では、日本の原子力発電所は、苛酷事故を起こす可能性が十分有り得るものということが前提で再稼働されます。
    再稼働するための新しい規定には、原発再稼働のためには、「事故が起こったときの避難計画を立てなさい」と定められています。
    これから再稼働する原発は、「事故を起こす可能性がゼロではない。事故を起こす可能性が十分有り得るもの」として再稼働されます。

    日本の原発は、全国にたくさんありますが、今、1基も動いていません。
    今止まっている日本の原子力発電所で再稼働最有力候補となっているのが、私たちの住む広島から一番近いところにある、四国の愛媛にある伊方原子力発電所です。

    これから再稼働される原発は、事故が起こる可能性が十分有り得るものということが前提で再稼働されます。
    伊方原子力発電所再稼働を容認するということは、「伊方原発で事故が起こってもかまわない」と言っているのと変わりません。
    「伊方原子力発電所で事故が起これば、私たちは、広島で築き上げてきたものすべてを捨てて避難してもかまわない」と言っているのと変わりません。
    伊方原子力発電所再稼働を容認しないでください。

    声を上げなければ、伊方原子力発電所再稼働を容認していることと変わりません。
    声を上げなければ、伊方原子力発電所は再稼働されてしまいます。

    広島市議会に、伊方原子力発電所再稼働反対の決議を求める請願を、広島市民1541名の賛同署名とともに提出しました。
    署名は追加で提出することができます。伊方原子力発電所再稼働反対にご賛同いただける方は、ご署名のご協力をよろしくお願いいたします。
    「結・広島」で検索してみてください。


    今、最も再稼働に近い原発が、伊方原発3号機で、広島から最も近い原発です。
    私たちは、この伊方原発再稼動に反対する決議を広島市議会で挙げてほしいということで、請願書を出しました。
    広島市議会の反対決議が、どれほどの拘束力を持つのか、今のところ、私たちにはわかりません。法的な拘束力はありません。
    ただし、広島市民118万人が、それを代表する広島市議会で反対決議を挙げるならば、この政治的インパクトはかなり大きいと考えます。

    広島市議会では、「経済観光環境委員会」に付託されて、ここでこの請願書について審議が始まりました。
    最初の委員会では、「継続審議」ということになりました。頭から「否決」ということにはなりませんでした。

    去る10月16日、田尾健一議員(安佐南区選出で市民連合)が、広島市決算特別委員会で、私たちの請願書に関連して、質問に立ってくれました。
    田尾議員の質問は、広島市民の安全・安心・生存権に関するきわめて鋭い質問で、項目としては9項目あります。
    そのうちの2項目目の質問が、「伊方原発が福島事故なみの苛酷事故を起こしたら、広島はいったいどうなるのか?」という広島市当局への質問です。

    広島市当局は、この質問に対して、「広島市は、原子力災害対策指針や原子力規制委員会のさまざまな指示によっても、避難の対象区域でもなければ、一時移転の対象区域でもない」と回答しました。
    実は、この広島市当局(環境局温暖化対策課)の回答は、嘘と言っては言い過ぎですが、あまりに不勉強過ぎる回答だと言えます。

    というのは、今お配りしているチラシにそのいきさつを詳しく書いておりますが、
    原子力規制委員会がこの9月5日に施行した原子力災害対策指針の中に、
    「空間線量率で20マイクロシーベルト以上が1週間続くと、一時移転の対象区域になる」と書かれております。
    もし、伊方原発が苛酷事故を起こしたら、原子力委員会のシミュレーションによれば、1週間でだいたい4ミリシーベルトの被曝をします。
    一定の定まった計算式に基づいてこの4ミリシーベルトを換算してみると、1時間あたりの線量率は40マイクロシーベルトになります。

    申し上げたように、原子力災害対策指針では、20マイクロシーベルト以上を「一時移転」の対象になると明確に書かれているわけですから、
    田尾議員に対する広島市当局の回答――「広島は、避難や一時移転の対象区域ではない」という回答は誤まった回答ということになります。

    私たちは、広島市当局が故意に広島市議会に嘘をついたとは考えていません。
    しかし、広島市当局がこの原発災害についてほとんど何も勉強・研究していないことは明らかです。
    現実に伊方原発が苛酷事故を起こす――もう、これは私たちの妄想段階ではありません。国の機関である原子力規制委員会自身が、その可能性を想定してシミュレーションまでしているわけですから、十分な可能性があります。
    そういう可能性のある重要な問題について、広島市当局はほとんど勉強していない、それどころか、広島市はまったく安全であるみたいな誤まった回答を広島市議会にしている。
    もし広島市議会がこの広島市当局の回答を信用すれば、私たち広島市民全体は、まったく誤まった危険な方向にミスリードされていく、という問題になります。

    「一時移転」とは言いますが、今の福島の状況を見ておれば、「一時移転」というのは、結局は「避難」です。
    今、本通りを歩いておられる方で、自分の家やマンションを持っておられる方はどのくらいおいでになるでしょう?
    荒っぽい統計で言うと、歩いておられる方の約3分の1は、いわゆる持ち家を持っておられると思います。
    持ち家を持っておられる人の約9割は、ローンを抱えています。つまり、ローンをして家を買い、マンションを買います。
    そこに住めなくなる。しかし、ローンだけは残る。移転先で新しい家を買わなくてはいけない。アパートを借りなけりゃいけない。いわゆる二重ローン。
    これも、実は、原発災害による我々の生活の不安定の大きな材料になっています。
    何も健康被害ばかりではありません。私たちの経済生活そのものが根底から破壊される可能性が非常にあります。

    私たちは、苛酷事故の可能性を持った広島から最も近い原発、四国電力の伊方原発の再稼動に反対する。
    その反対決議を広島市議会に挙げてくれ、そして、国に対して、あるいは四国電力に対して、政治的プレッシャーをかけてくれということを請願していますが、
    我々の生活、広島市民の健康と安全、ひとことで言えば我々の生存権を守るためには、どうしてもこれはやっておかなければいけないことだと思います。
    今、ここで黙って何もしないでおくと、後で大きな後悔が、ひとりひとりに残ります。
    黙っていること、黙認することは、「Yes」と言うのと同じことであります。
    私たちは、「Yes」と言いたくありません。


    この広島から一番近い原発が、愛媛県の佐田岬半島にある伊方原発だということを知って、このことをみなさんにお知らせしたいと思って歩いております。
    今まで、広島は中国電力の地元ですので、島根原発しか頭に無かったんですけれども、
    地図を置いて計算してみると、四国電力の伊方原発が広島からたった100キロしかないところにあるということがわかりまして、
    まずみなさんにこの伊方原発の存在を知っていただきたいと思って歩いております。
    地元の新聞社さんが、まったくこの伊方原発のことを報道しません。
    なので今でも島根原発が一番近い原発だと思っていらっしゃる方が多いかもしれませんが、
    実は、四国の愛媛県にある伊方原発が、一番近い原発です。
    そしてこの伊方原発が、今、再稼働最有力候補で、来年早々再稼働される見込みで、審査が一番早く進んでいます。

    みなさん、新聞とかテレビで、「安全審査」という言葉を使っている日本の首相や、テレビや新聞の文字を見たことがあると思いますが、
    今、原子力規制委員会で進めているのは、「安全審査」ではありません。
    これは、当の規制委員会も言っていますけれども、規制委員会が定めたのは「規制基準」であって、今行われているのは、「規制基準適合性審査」です。
    まだ、「安全基準」をつくっていません。

    これは、原子力規制委員会の田中俊一委員長その人自身が言っています。
    「regulatory requirement」であって「safety standard」ではない。
    4月3日の時点で、名称を、「安全基準」という名称で進めてきたのを、「規制基準」と変えています。
    じゃあ何が違うのかというと、事故を起こさないような基準づくりではなくて、
    今の基準は「事故は起こる。起こるけれども、せめて福島みたいに大きな苛酷事故にならないような設備を整えましょう」ということです。
    だから、もう、今の基準で稼働される原発っていうのは、事故が起こることが前提です。
    今の基準は「安全基準」ではないし、「安全審査」ではありません。

    マスコミや時の政権の方々は「この基準を満たせば、これは、安全のお墨付きを得たんだ」と、私たちに誤解させようとしています。
    これは意図的です。
    意図的に誤解させて、最終的には内閣の政治判断によって原発が再稼働されるんですけれども、そういったことで再稼働を進めようと、
    「これは、安全のお墨付きを得たんだ」と言い訳をして、さももっともらしい体裁をつくって、再稼働しようとしています。
    でも、だまされないようにしてください。
    今の基準は、「regulatory requirement」であって「safety standard」ではありません。
    「規制基準」です。「安全基準」ではない。
    そして「安全審査」ではありません。「規制基準適合性審査」です。

    ちなみに、伊方原発でもし苛酷事故が起きたら、広島は100キロ地点で4ミリシーベルトの実効線量被曝のシミュレーションが出ていますけれども、
    広島県の一番最南端、伊方に一番近いところは58キロだそうです。
    58キロはまだ調べてないんですけれども、呉市、江田島市にわたる70キロ圏、これはどれくらいの線量になるのかということを調べました。
    そうすると、1週間あたり10ミリシーベルトというとんでもない高い値になるというシミュレーションが出ているということがわかりました。
    ちょうどこのあたりは、おいしい牡蠣が採れるところなんですけれども、このあたりは全滅になるというシミュレーションが出ています。

    もう、残念ながら原発の問題というのは、広島市でも地元の問題になってしまいました。
    私たち自身が、マスコミ、テレビや新聞に頼らず、第一次資料にあたって調べてきちんと考えていかないと、間違ったほうに決断をしてしまうかもしれないというところまで来てしまいました。
    その考える材料になればと思って、毎週歩いたり、こうやって隔週、伊方原発のことについては、報告やチラシをお配りしておりますので、もしよかったらお手にとってご覧ください。

    • -------------------------------------------------------------------
    • ◇次回第31回のウォークは次の土曜日です。

      11月9日(土)15:00~16:00
      元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース

      よろしかったらご参加ください!

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