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共同請願人署名のお願い

「結・広島」からのお願い

1.署名について

署名は広島市議会に対して「伊方原発再稼働反対」の決議を求める共同請願人になっていただくことを意味しています。

その意味では、広島市内に居住する有権者の方に限ります。
(広島市内に居住しない有権者の方の署名は、参考署名として別途に提出をしますので、共同請願人ではありませんけれども賛同する意思表示となります。)

2.期限について

署名の第1回提出は9月17日でした。
第2回目の提出は10月分として11月5日に提出をしました。
第3回目の提出は11月分として12月4日に提出をしました。
(合計1739名)

以降、毎月広島市議会事務局にその月に集まった署名を提出する予定です。

3.1万筆が目標

上記のように毎月署名を提出する予定としておりますが、現在目標を1万筆に置いております。広島市の有権者は約100万人ですので、広島市内有権者の1%を目標としている、ということになります。

4.署名の意味

申し上げたように、今回の署名は単なる賛同署名ではありません。
広島市議会議員、広島市長を選出する権利を持つ広島市内有権者の署名です。有権者の1%が明確に伊方原発反対決議を求めるとなれば保守的な市議会議員層も決して無視できません。次の選挙(2015年統一地方選挙)の当落に関わってくるからです。

署名は市議会議員に大きな圧力をかけるという意味も持ちます。

何卒ご参加・ご協力を宜しくお願いいたします。

▼署名用紙
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131201.pdf

11/23 伊方原発再稼働反対ウォーク 報告と次回のお知らせ

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11月23日(土) 第32回目の広島 元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース 伊方原発再稼働反対ウォークの報告です。

広島市から100キロの四国電力伊方原発の再稼働が迫っています。
15:00スタート。5人で歩きました。

◇今回は、広島市議会への請願署名用紙の中に「中国電力島根原発2号機『規制基準適合性審査申請』の事前了解願を島根県と松江市に提出」というチラシを挟んで配りました。
 ↓
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20131123.pdf

◇Nさんは、次のようなスピーチを行ってくださいました。

【技術開発・省エネの進歩で、原発再開の根拠はなくなった】
この数年で、原子力発電は日本国民にとって有害・無益であることが実証されました。

福島原発事故で日本の原子力発電のウソが実証されました。

原発がなければ電力不足で日本経済と国民の生命と生活は危篤状態になるというオドシは破綻してしまいました。そういった財界のエライ人は、今の日本が原発ゼロなのに景気は上向いていると言っています。

日本国民の才覚と努力は、徹底した節電から電力需要そのものを低下させました。今年2月の電力需要は、震災前と比べて7.9%低下しています。

日本企業の節電技術開発は産業を活性化させました。

電力会社は自分のウソで窮地に立ちました。電力需要の7.9%低下は、即ち電力会社の売り上げ7.9%減少になったからです。

自ら招いた経営危機を、電力会社は、「コストの安い原子力発電が止められているからだ」とすり替えました。恐るべきすり替えです。

本当は、原子力発電ほど高いコストはありません。本来、原発のコストにすべき技術開発、原発立地費用などを、2011年だけで4,330億円。1954年から2011年まで合計、14兆4,161億円が税金によって負担されています。そうです、私たちは電気代に加えて税金で原発の電気料金を支払っています。

バックエンドコストは、現世代が発電に使ってしまった核廃棄物の処理費用です。18兆8千億円の計算がありますが、最終的にはこの数倍に膨らむと考えられている。核廃棄物の再処理は事実上破綻しています。

また、原発を廃炉にすればゼロ円で済むものを、原発を再開しようとして発電・送電せず原発の機能を維持しているので、巨額の維持費用を発生させています。

【2022年までにドイツ国内の原発をすべて廃炉する】
なぜ、実現できるのか。一例を挙げれば、ヨーロッパでは、2011年にキロワット当たり21円であった太陽光発電コストが、2020年には16円に下がります。そして安全のためのコストがほとんどゼロであること。雇用増加をもたらすことなどが挙げられています。

【日本でも脱原発の準備は完了している】
〈再生可能・自然エネルギーへの万全の橋渡し〉
コストもCO2も従来の天然ガス発電の1/3削減する改良型・天然ガス火力発電は、
天然ガスの熱から電力への交換率が
◎三菱重工 40% → 61% 
*さらに同社は70%を視野に入れている。
◎GE(ジェネラル・エレクトリック) 62%
*東芝と提携しているGEは、原発から改善・火力発電に軸足を転換し、世界に改善・火力発電を3,900基建設し、日本にも売り込みを図っている。

ちなみに、原発の原子炉で発生する熱から電力への交換率は33%にとどまり、(標準的な原子力発電所では)海水を7℃上昇させて青森県の岩木川の水量に匹敵する水量を海に垂れ流しています。

〈廃炉事業は地域経済を活性化させる〉
上述のとおり発電・送電をしない原発は莫大な費用を発生させていますが、廃炉に政策を転換すれば、雇用をはじめとする地域経済を再生させます。少なくとも40年は事業期間を要します。

ドイツでは廃炉事業は産業化して世界に売り込みを図っています。原発依存の地域経済から健全な再生へ向かいます。

〈想像を絶する自然災害〉
2013年11月のフィリピン・レイテ島台風の風速90mに見られるように、これまで経験したことのない、想像を絶する自然災害が容赦なく所を選ばず襲ってきます。

私たちのできることは、福島の悲劇、すなわち自然災害と原発事故の重なりを絶対に避けることしかありません。おまけに原発は時代錯誤になっています。わざわざ再開することはありません。

伊方原発のある四国・佐田岬は、人々に警戒を呼びかけている南海トラフと併行しています。原発再開の申請だけでも恐ろしいことです。

【人は過ちを犯し、機械と装置は故障する】
福島原発災害で、「電源が切れたら」を予測していなかった人はいなかったそうです。
今までの原発事故も、あとで考えたら「そんなことだったんだ」に帰結することの集積です。

【誤りを改めるにはばかることなかれ】
小泉純一郎元総理の金言です。同氏は、「オンカロ(洞窟)」と呼ばれる地下520mに造られた、フィンランドの永久核廃棄物処理場を視察した結果、「直ちに脱原発」を決めました。

なるほど、地中深くといえども地殻変動から逃れることはできません。

日本列島が現在の形状に収まったのはわずか3万年前です。日本列島は毎年数センチずつは動いています。自然界にない、人間を苦しめながら死滅させる放射能は、10万年影響を及ぼします。

原子力は放射能の解毒技術を人類が手にするまで封印しなければなりません。

◇じゃけぇさんは、

これから再稼働される原発は、事故が起こる可能性が十分有り得るものということが前提で再稼働されます。
伊方原子力発電所再稼働を容認するということは、「伊方原発で事故が起こってもかまわない」と言っているのと変わりません。
「伊方原子力発電所で事故が起これば、私たちは、広島で築き上げてきたものすべてを捨てて避難してもかまわない」と言っているのと変わりません。
伊方原子力発電所再稼働を容認しないでください。

声を上げなければ、伊方原子力発電所再稼働を容認していることと変わりません。
声を上げなければ、伊方原子力発電所は再稼働されてしまいます。

ということを繰り返し訴え、広島市議会への請願署名を呼びかけました。
そして、なんと、本当に「署名をしましょう」と言って、その場で署名してくださる人が出てこられました。(署名を集める構えで行っていたウォークではないにもかかわらず)

◇網野さんは、

「規制基準」と「安全基準」とは違うこと、
原子力規制委員会が行っているのは「規制基準適合性審査」であって「安全審査」ではないこと、
これは、言葉の違いであるだけでなく、意味内容がまったく違うということ、
ところが、原発推進勢力やマスコミは「安全基準」「安全審査」という言葉をことさらに使って、人々を洗脳し、審査を満たせば原発は安全であると人々に思い込ませようとしていること、
を繰り返し訴えました。
 
◇久しぶりの暖かい土曜日で、本通りの人通りも多く、多くの人がプラカードに目をやっていました。

◇次回第33回のウォークは、
12月14日(土)15:30~16:30
元安橋東詰めー本通りー金座街往復コース
という予定です。
よろしかったらご参加ください!

広島市長からの回答

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▼質問PDF
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131111.pdf
▼回答PDF
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/hiroshima_shicho_kaitou.pdf
▼広島市長回答受け取りとその顛末
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/hiroshima_shicho_kaitou_tenmatu.pdf

▼以下顛末報告▼

2013年11月18日

広島市長回答受け取りとその顛末報告

「結・広島」
広島市安芸区矢野町 752-29
代表 原田二三子

 既報のとおり、『結・広島』は「四国電力伊方3号機再稼働問題に関する広島市長への質問」を11月12日に提出し、広島市企画総務局秘書課長の岩崎学氏に受け取っていただき、11月18日回答を書面で受け取りに参上することを約しました。

(文章が長いので後での検索用に小見出しを入れております)


再稼働反対決議請願と温暖化対策課の「見解」との関係

 質問書の要点は、
  ① 「結・広島」の先頃広島市議会に提出した「伊方原発3号機再稼働に反対する決議」を求める請願書に関して市議会所轄常任委員会である『経済観光環境委員会』委員長の豊島岩白議員の求めに応じ、広島市役所担当部局である広島市環境局温暖化対策課が『見解』を豊島議員に提出し、これをこの問題に関する広島市当局の見解として常任委員会に報告した。
  ② この広島市当局(温暖化対策課)の見解は松井一實市長ご自身の見解であるか。

 というものです。

 考えてみればこの「質問」自体奇妙な質問でもあります。というのは広島市役所の長である広島市長に対して、その傘下市当局が議会に対して示した見解に対して「これはあなた自身の見解でもあるのか?」と聞いているわけですから。普通であれば聞かずもがなの質問です。しかしこのケースではあえて聞いて見なければならない理由がありました。

 「結・広島」の請願書の中身は、
①伊方原発の再稼働が近づいている、
②原子力規制委員会の「原発苛酷事故時の放射性物質拡散シミュレーション」と同じく原子力規制委員会が決定施行した「原子力災害対策指針」(2013年9月5日施行)を合わせ読むと、広島市は1週間で4mSvの被曝線量を被ることになり、「一時移転」の対象区域となる、
③現在の原子力規制行政は決して原発の安全を担保しておらず、「確率論的安全性評価」(PSA)の考え方の下に、原発再稼働の「基準適合性審査」を行っている、
④従って伊方原発はフクシマ事故並の苛酷事故を起こす蓋然性をもつ、
⑤これは広島市民にとって「生存権」問題である、
⑥よって広島市議会は広島市民の生存権を守る立場から「稼働反対」を決議して中央政府に政治的圧力をかけていただきたい、

というものでした。

 この「請願」に対して広島市当局の見解は、
①伊方原発問題はエネルギー問題である、
②エネルギー問題は国(具体的に“国”とは何を指すのか不明です。日本国憲法では国ないし国家とは国民そのものを指しますが、この場合の“国”は明らかに国民を指していません。前後を考えれば“政府”ないし“政権”を指しているものと思われます)の専管事項である、
③原発に対する信頼性はフクシマ事故で大きく損なわれた、
④広島市としてはこの信頼性の回復に努めるよう要望している、
⑤原発再稼働問題は、広島市としては国の進めているエネルギー政策見直しの中で適切に判断されるものだと考えている、

というものでした。


伊方原発再稼働は「生存権問題」か「エネルギー問題」か

 要点を整理すれば、伊方原発3号機再稼働問題は広島市民にとって「生存権問題」と「結・広島」が問題提起したのに対して、広島市当局は「生存権問題」の視点は無視したまま、伊方原発3号機再稼働問題という個別問題を、「原発問題」という抽象的一般論に置き換えて、原発問題はエネルギー問題とこれも一般化し、その上でこれは「国の専管事項」なので国及び関係当事者が適切に判断するものと期待している、と答えています。

 広島市当局は、「伊方原発3号機再稼働は広島市民の生存権問題」という問いには何ら反応を返さず、原発一般問題に置き換えて「エネルギー問題」だから広島市としては直接あずかり知らない、と広島市議会に「見解」を示したことになります。


ポスト・フクシマ時代の地方行政のありかた

 この広島市当局の「見解」は、請願を提出した私たちにとって看過できないものとなりました。1つには伊方原発3号機再稼働問題を広島市民の生存権問題として把握しきれない広島市当局の鈍感さ、が上げられます。フクシマ事故前とポスト・フクシマ時代では、地方行政のあり方は大きく変わりました。いや大きく変化しなければならないはずです。これまでは政府のいうなりに中央行政の末端行政機関として地方行政の存在が曲がりなりにも許されてきました。単に原発問題に止まらず、フクシマ事故が地方行政のあり方に対して投げかけた問題提起は非常に深刻なものがありました。典型的には、その大部分が福島第一原発から30km圏外にある福島県飯舘村の村長のコメントです。彼はいいます。「いままで国のいうとおりにやってきた。それが村民の避難という事態にまで立ち至った。これまで国を信じてやってきたのに国に騙された」

 地方自治体の最高責任者として「国に騙された」で済まされてはかないません。飯舘村の村長が国に騙されたのなら、それは騙した国よりも騙された飯舘村の村長により大きな責任があります。住民の立場からすればそうなります。なぜなら、飯舘村の住民の生命・財産、一言でいうなら生存権を守り抜く直接の最高責任者は飯舘村の村長、という役職なのですから。飯舘村の村長には大変気の毒な話ではありますが、少なくとも「ポスト・フクシマ時代」は、国のいうなりであってはならず、地方自治体といえども自ら調査研究し、住民の生存権は、第一義的にその自治体首長が守り抜くという姿勢を示してもらわねば困ります。少なくともそれが「フクシマ事故」から学んだ「ポスト・フクシマ時代」の地方行政の姿勢だ、といっても言い過ぎにはならないでしょう。

 この観点から見れば、広島市当局の姿勢は旧態依然たる「フクシマ事故前」の行政姿勢です。


主体性放棄・判断停止状態の広島市当局

 2つめは1点目の姿勢からくる必然の結果ですが、「原発問題はエネルギー問題」「エネルギー問題は国の専管事項」「よって地方自治体たる広島市は国の判断を見守る」「国は適切に判断してくれるだろう」とする主体性放棄の広島市当局の姿勢です。いわば判断停止状態にあるこの広島市の姿勢は、この市当局に私たちの生命・財産を預けて本当に大丈夫なのだろうか、という不安をいやが上にもかき立てます。

従って「広島市長も全く同じ考え、姿勢なのだろうか」という質問をぶつけてみたくなることとなります。広島市長に質問をしてみたい、と考える理由はもう1つあります。それは広島市長は私たちが直接選挙で選んだ存在だという点です。広島市民は、たとえば環境局温暖化対策課長を直接選任することはできません。が、広島市長は直接選挙で選ぶことができます。広島市長が不適切であれば私たちは直接広島市長を取り換えることができます。したがって広島市長に直接質問する行為は、私たちの選挙による選択は間違いがないかどうかの確認作業でもあります。

 こうした背景から私たちは質問書を提出したのです。


温暖化対策課登場の同義反復

 18日、質問書回答を受け取りに秘書課を訪れました。すぐに担当者に回答をもってこさせるというのでしばらく待っていると、なんと現れたのは広島市議会に市当局の「見解」を提出した当の担当部局「温暖化対策課」でした。

 「温暖化対策課の見解は本当に広島市長の見解なのか」という質問に対して、回答をもって現れたのが温暖化対策課なのですから、これは典型的な同義反復(トートロジー)です。(現れたのは温暖化対策課長の山崎孝通氏と直接担当者の福長賢氏の2名)そして課長が提出したのがこの回答書です。

 この時私たちの取り得る態度は幾通りかありました。1つは広島市長に対して上記いきさつで提出した質問書に対して、温暖化対策課長名でのこの回答内容では、回答になっていない、全くの同義反復であるとして回答書を受け取らないやりかた。2つ目は取りあえず話し合いをして、その上で判断するというやりかた。3つ目は「回答書」として受け取りその解釈はあとでする、というやりかた。結局2つめのやりかたを取ることにしました。

 市当局側は2名、私たち「結・広島」は代表の原田二三子と事務局の哲野イサクと網野沙羅の3名、それに秘書課長の岩崎氏がやや離れて立ったまま遠巻きにこれを眺めるといったいささか珍妙な光景で、話し合いとも交渉ともつかぬやりとりがはじまりました。やりとり自体は1時間半近くかかりましたが、かけた時間の割には内容は薄く、同じ問答の繰り返しが多く、以下要点だけを記します。


松井市長の回答なのかどうか不明確のまま

①これは松井市長の回答なのか?
 この回答書は温暖化対策課長名での回答となっているが、松井市長の回答なのかどうか、という質問に対して、対策課は「市役所は組織であって、市長に対する質問を担当部局名で回答することはよくあることだ。市長と担当部局は一体である」というものでした。

 これに対して「一般的に広島市長や広島市に対する質問に担当部局が替わって回答することはよくあることだし、そのこと自体は理解できる。しかし今回はそのケースに当てはまらない。担当部局の見解に対してこれは市長も同じ見解か?と問うているのが質問の趣旨だ。それに対して担当部局が出てきて回答するのでは、論理学でいう典型的な同義反復だ。このままは受け取れない。質問の成り立ちが理解されていない」と反論しました。

 これに対して山崎課長は「広島市長も同意見である」と捕捉したので、「松井広島市長も同意見という趣旨ならば、同義反復にはならない。それを文書化して欲しい。文書化の証としては、一筆手書きでいいので山崎課長名の前に“広島市長松井一實代理”と書き添えて欲しい」と迫りましたが、山崎課長はこれを拒否、あくまで自分名での回答書の形式を崩しませんでした。この回答が松井市長の見解であることは確認できましたが、文書化を断られたので、そのままとしました。


論点すり替えの回答

② 内容そのものが質問の回答になっていない。
 「私たちの論点は“伊方原発3号機再稼働問題”であって、しかも広島市民の“生存権”問題として扱っており、その角度から質問をしている。これに対してこの回答の構造は、伊方原発3号機再稼働問題という論点にはまったく触れず、構成としては“伊方原発3号機再稼働問題”は“原発問題”、“原発問題はエネルギー問題”“エネルギー問題は国の専管事項”“広島市は国のエネルギー政策を見守る”という流れになっている。原発問題が“エネルギー問題”という論点がありうることは理解できる。しかしこの質問書はその視点から論じていない。つまりこの回答は論点をすり替えている。論理学でいう典型的な“論点すり替えの詭弁の誤り”を犯している。質問の論点についてはなんら回答していない」というのが私たちの立場。

 これに対して「質問の論点は理解している。だからこうして説明している。原発問題が広島市民の“安全・安心”を脅かす状態になれば、広島市として当然対応をとるが、現在のところその証拠はない」という口頭の回答が対策課の立場。

 「それはそれで結構だ。広島市の使う“広島市民の安心・安全”(これは繰り返しどこかで聞くフレーズですが)は私たちの“生存権”とほぼ同じ意味だと思う。質問の論点が理解されていて、広島市民の生存権が脅かされる状況、あるいはその恐れがある時には、広島市は独自に動くということあれば、その旨を回答に書いて文書化して欲しい。口頭で回答したんだから、文書にすることには不都合はあるまい」と迫ると、なぜかこれは拒否。
 文書上では「原発問題はエネルギー問題」という立場を一切崩さないという決意が固く、あとは繰り返しの押し問答。


原子力災害対策指針を自分の頭で読むかどうか

③ 広島市民は生存権の脅威にさらされているか
②の中の話で唯一論点がかみ合った話題があります。それは“広島市民の安心・安全がおびやかされているか、あるいはおびやかされそうな証拠があるか”という問題です。要するにこれは原子力災害対策指針と同じく規制委の公表した原発苛酷事故時の“放射性物質拡散シミュレーション”をどう読むかという問題に帰結します。私たちの指摘している問題でもあります。対策課の理解は、“国”なり“規制委”なりが、原発苛酷事故時に広島市が何らかの対策が必要だ、という明示がない、という点につきます。確かにシミュレーション自体作成した目的は、原発30km圏内を“原子力災害重点区域”とすることの妥当性を裏付けることにあり、広島市は30km圏外にありますから重点区域ではなく、従って原子力災害時の広域避難計画対象区域から外れています。しかし、広島市は30km圏外で、災害対策指針でいうOIL2(一時移転対象区域)となりうる蓋然性があることは、シミュレーションで示された「原発からの距離と被曝線量関係グラフ」から明らかです。

 しかし対策課は、「“広島市”の明示がない」、の一点張りで「従って“広島市民の安全・安心”が脅かされている、あるいはその恐れがある状態ではない」と主張します。思わず「そこまで国にいうなりなのか、自分の頭でモノを考えてみるという姿勢はないのか」となじったほどでした。それぞれの自治体が自分自身で調査・研究をし、自分自身で地域住民の「生存権」を守る、これが「ポスト・フクシマ時代」の地方自治体のあり方でしょう。後から「国に騙された」といってみてもはじまらないのです。ところが広島市の姿勢(恐らく全国の多くの自治体も)は、「フクシマ事故前」の姿勢と全く変化がありません。(この場合“国”とは単に日本政府を指しているのに過ぎないのですが・・・)もしこれが松井市政の根本的姿勢ならば(山崎課長の口頭での回答を信ずるならば、これが松井市政の姿勢ということになりますが)、“ポスト・フクシマ時代”にはふさわしくない極めて危険な姿勢、ということになりましょう。
 (なおこのやりとりの最中、対策課が“EPZ”という言葉を使ったので、対策課がいまだに古い原子力災害対策指針を使っていることが明らかになりました。現行の対策指針では“EPZ”という用語は廃止され、“UPZ外”と一緒に大きく括られています。お粗末な話です)


“安全基準”は慣用的に使用が許されている?

④“安全基準”という用語の妥当性
 さらに、対策課が広島市議会に示した「見解」の中で「国の動き」として安倍首相の言動を再三再四「安全基準」という言葉をそのまま引用して、市議会に報告している個所だけは、解釈の問題ではなく事実関係の問題だから訂正しておくべきではないか、と指摘しました。これに対して対策課は「安全基準」という用語の誤りを認めつつも、慣例として「規制基準」という言葉を替わりに「安全基準」という用語を使用することは認められている、と反論しました。しかしこれは大きな問題で「安全基準というと基準を満たせば原発は安全であるかのような誤解を生む」(田中原子力規制委員委員長)という理由でわざわざ正式に「安全基準」を廃止し、「規制基準」という用語に差し替えたいきさつがあります。広島市のような地方自治体、特に対策課のような担当部局は積極的にこうした誤解に基づく用語の誤った使用を訂正していく立場にあります。それが「慣例として許されている」という認識では、いかに担当部局が現在の規制基準なり原子力規制委員会規則なりを理解していないまま、この問題(原発の危険性)に対応しようとしているかを表しています。

 さらに「少なくとも、市議会に示した見解にはミスリードにつながる用語法があるのだから訂正ないしは注釈を加えるべきだ」と指摘したところ、「安倍首相の言葉を引用しただけで首相の言葉を訂正するわけにはいかない」との回答。それはもっともなことなので「それでは注釈を入れたらどうか」と提案すると「対策課は解釈は行わない」(山崎課長)との回答でした。「国の動き」として安倍首相の言動を中心にピックアップして議会に報告すること自体、1つの立派な解釈なのですが、このあたりにくると私たちは、対策課の詭弁(論点すり替えや先決問題解決の要求、同義反復など)に疲れてしまい、もう山崎課長の恣意的な言い分の追及を行おうとする気力すら失せていました。後は広島市議会がこの用語法を使い続ける広島市当局の姿勢を黙認するかどうかです。「ポスト・フクシマ時代の地方行政はどうあるべきか」という課題はなにも広島市当局にばかり突きつけられた課題ではなく、同様に広島市議会にも向けられています。

 結局私たちはこの回答書ならぬ「回答書」を書面で受け取り、詭弁に終始し、危機感の薄い広島市当局の現状を証拠立てる1つの資料として受け取って帰り、解説記事(すなわちこの一文)を添えて公表し、広島市民に警告を鳴らすことにしよう、と決めてやりとりをこちらから打ち切って広島市役所を後にしたのでした。

 ただ私たちのために多くの時間を割いていただいた関係各位には謝意を表します。いかに不毛と見えようとも対話・討論はすべての出発点であり、ソリューションへ向けての“偉大な母”だからです。


【後記】

折角「温暖化対策課課長」と話す機会なので、前々から抱いていた疑問「原発問題はなぜ温暖化対策課が担当部局なのか」という質問をしてみました。山崎課長の回答は、「環境問題はエネルギー問題と密接な関係がある、また、原発はエネルギー問題なので温暖化対策課が担当している」との回答でした。どうも釈然としない回答です。
広島市の原発問題に対する対応の仕方は、環境省の対応の仕方と極めてよく似ています。環境省においては、温暖化対策とは要するに「温室効果ガス」(CO2やメタンガスなど)をいかに削減するかという政策課題と同義です。原発は全くCO2やメタンガスを排出しないエネルギー手段として捉えられていますので、環境省にあっては原発推進は温室効果ガス削減の有力なエネルギー手段として位置づけられています。つまり環境省は本質的に「原発推進」なのです。広島市の原発問題のポジショニングが基本的に環境省と同じ、ということは、広島市もまた原発を温室効果ガス削減手段としてとらえており、だから担当部局が温暖化対策課なのです。つまり広島市の態勢は“原発推進”と考えられます。

伊方原発の「新規制基準適合性審査」進捗状況

7月に始まった原発の「新規制基準適合性審査」において伊方原発が議題に上ったのは、現在(11月17日)までで21回です。

 7月16日(第1回)
 7月23日(第2回)
 7月30日(第4回)
 7月31日(第5回)
 8月1日(第6回)
 8月15日(第9回)
 8月21日(第11回)
 8月22日(第12回)
 8月28日(第14回)
 8月29日(第15回)
 9月10日(第17回)
 10月2日(第27回)
 10月3日(第28回)
 10月10日(第31回)
 10月16日(第33回)
 10月17日(第34回)
 10月23日(第36回)
 10月30日(第39回)
 11月7日(第43回)
 11月8日(第44回)
 11月14日(第47回)

10月26日には現地調査も行われています。

第1回は、申請の概要説明でした。

第2回は、規制委員会側からの論点提出でした。

「重大事故対策」関連の資料提出が行われているのは、
第4、6、9、12、15、17、28、31、43回です。

「設計基準事故対策」関連の資料提出が行われているのは、
第17回(緊急時対策所・制御室)、第28回(外部火災)、第31回(緊急時対策所・制御室)、第34回(内部溢水)、第47回(竜巻)です。

「地震動」関連の資料提出が行われているのは、
第5、14、36、39回です。

「津波」関連の資料提出が行われているのは、
第11、36回です。

「火山」関連の資料提出が行われているのは、
第27、43、44回です。

第33回には、「審査会合への資料提出状況(四国電力)」を提出しています。

第28、31、43回には、「指摘事項に対する回答一覧表」を提出しています。

10月10日の第31回会合で、各電力会社の審査会合への資料提出状況(資料4-1)が示されています。

http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20131010.html

これを見ると、泊3号機、大飯3・4号機、高浜3・4号機、伊方3号機、川内1・2号機、玄海3・4号機の中で一番資料提出が進んでいるのは、確かに伊方3号機です。

しかし、「審査会合への資料提出状況(四国電力)」において「10月下旬に提出の予定」とされている「耐津波設計方針」、「11月上旬に提出の予定」とされている「震源を特定せず策定する地震動」、「11月中旬に提出の予定」とされている「基準地震動」などの地震・津波関係の資料、「11月中旬に提出の予定」とされている「組織・体制」、「教育・訓練」、「LCO/AOT」、「重大事故対策の手順書」などの保安規定関係の資料等がまだ提出されておらず、必ずしも順調に進んでいるとは言えないようです。

最新の、四国電力の「指摘事項に対する回答一覧表」は、次に示されています(資料2-2)

http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/20131107.html

第36回会合では、津波評価について、原子力規制委員会側のコメントへの回答が提出され、四国電力の説明とそれを受けての原子力委員会側とのやりとりが、次で見られます。

http://www.youtube.com/watch?v=d9YNbUIjaNs

第39回会合では、地震動評価について、原子力規制委員会側のコメントへの回答が提出され、四国電力の説明とそれを受けての原子力委員会側とのやりとりが、次で見られます。中央構造線断層帯480キロ連動のケースについて、四国電力が非常に古い知見に基づいた評価しか行っていないこと、さらには、新しい知見を耐震設計に取り入れる考えがないこと(この時点で)が明らかにされています。

http://www.youtube.com/watch?v=IjWacPUUfpY

時間がかかりますが、ぜひ視聴してみられることをお勧めします(時間がなければ、四電と原子力規制委員とのやりとり部分だけでも)。

原子力規制委員会「新規制基準適合性審査」
 ↓
http://www.nsr.go.jp/activity/regulation/tekigousei/

広島市長に質問を提出

ファイル 44-1.jpg

▼質問PDF
http://hiroshima-net.org/yui/pdf/20131111.pdf

昨日11月11日に広島市長室秘書課に広島市長宛の質問を提出いたしました。

秘書課課長の岩崎様に対応いただきました。

以上ご報告いたします。
18日17時までにご回答いただける予定です。

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